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0対91にも溢れる希望。「きっかけは不登校」監督自ら発足した”日本で3番目に弱い”野球部が歩む道

甲子園球場で第89回センバツ高等学校野球大会(センバツ)が開催されているが、高校球児たちの春は全国大会だけではない。各地区では、県大会の予選が行われている。

2017/03/31

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豊田毅監督



逆転負けから得た自信

 新たに野球部に入ってくる選手にどんなことを伝えたいか訊ねてみた。
 
「どんなにヘタだったとしても真剣に取り組んだらいい選手になれる。それは3年生が証明してくれた。どんな人になりたいのかということ、どんな選手になりたいのかはイコールだと思う。どうなりたいかを考えて、理想の選手(人)を見つけ、それに近づいていけばいい」
 
 そのお手本とする人はプロ野球選手でもいいし、先輩でもいいし、私でもいい。目標を決めて目指していってほしい。そんな風に監督は願っている。
 
 監督の理想は、見ている人が自分も頑張ろうって思えるようなチームにすることだ。誰かに何かを伝えられるような、一歩前に出る勇気を与えられるような存在になりたい。野球ができる喜びをたくさんの人に伝えて恩返しできるようなチーム作りをしている。
 
 豊田監督に現在のチームの完成度を聞くと「10%」と回答してくれた。
 
 0.1%ずつ日々成長してきたが、この冬、ものすごい勢いで急激に強くなったようだ。その要因について問うと「11月最後に行われた県内の高校(昴、あけぼの、桜丘)の合同チームと行った練習試合」と豊田監督は振り返った。
 
 この試合では、自分たちのウリである打撃を生かせたという。その言葉通りバットがよく振れていて、5回までに7-0と大量得点を奪った。しかし投手が足をつってしまい、やむを得ず降板。その後、登板した投手が乱調し8失点で逆転を許し、初勝利まであと少しといったところで敗れてしまった。この試合以降、筋トレや走り込みなど普通なら嫌がることを選手たちが苦にせず率先して励んでいき、強くなったという。
 
 勝利目前で逆転負けとなったからこそ、得たものがあったと監督は考えている。手が届くところに勝利が見えたことで、勝つことへのイメージが沸き「次こそは」という気持ちが芽生えたのかもしれない。
 
 部員の中に一人だけ、投手としてプレーした経験を持つ生徒がいる。その選手は『転校した日から1年経たないと公式戦に出場不可』という日本高等学校野球連盟(高野連)の規定のため、今秋まで公式戦に出られない。その生徒が出場可能となるまでにチームの体制を整えて勝てるようになりたいと、監督は更なる進化に期待を寄せている。

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