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甲子園を湧かせた球児が、社会人1年目から即戦力に プロ注目右腕・山岡泰輔の今

2013年、一人の高校生投手が大きな話題を呼んだ。その名は山岡泰輔。プロ注目の選手だが、瀬戸内高校卒業後、プロ志望願を提出せずに社会人野球の東京ガスへ入社。1年目から即戦力として活躍した。来年ドラフトで再び大きな注目を集めるであろう山岡は今、着実に社会人野球で経験を積み上げている。

2015/02/05

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 負けん気の強そうな真っ直ぐな目が、テーブルの向こうからこちらを見据える。まだ肌寒さの残る1月中旬、山岡泰輔投手を尋ねた。170㎝と小柄ながら、躍動感あふれるピッチングと、全身からみなぎる気迫で甲子園を沸かせた本格派の好投手。東京ガスに入社し、もうすぐ丸1年が過ぎようとしている。プロ注目の右腕は、どのようにこの1年間を過ごしてきたのだろうか。

高校生が振ってくれたボールを社会人では振ってくれない

――東京ガスに入社して約1年。想像していた社会人1年目と、実際の1年間は違いましたか?
 
自分で想像していたより、出きすぎというか……。社会人で苦労する人もいると話には聞いていたんですけど、自分は苦労することがあまりなかったんです。もう、本当に思い通りにいった1年間でした。もちろん試合で、細かい部分を見たら「もっとこうだったら」という気持ちはあるし、課題みたいなものはあるんですけど、1年間通してはうまくいったんじゃないかなと自分では思っています。
 
――苦労という点では、どんなことを心配していました?
 
まずは投げさせてもらえないかもしれないという不安がありました。通用するというか…抑えることができるのかなというのが、一番不安でした。ただ、投げてみたらそう感じることはなかったです。
 
――課題というと。痛感したことは?
 
今まで高校生相手に投げてきて、高校生が振ってくれたボールを社会人では振ってくれないというのは改めて感じました。ずっと課題にして練習はしています。特にストレートのコントロールとキレが勝負になってくると思います。
 
――振ってくれたボールを振ってくれない。
 
はい。社会人は全般、みなさんそうですね。ほぼ、振らないです。スライダーのワンバウンドは絶対に振らない。それは、春先に対戦してすぐに感じました。ただ「じゃあストライクゾーンで勝負しよう」と思ったときに、どうやって抑えるか。それが課題になってくると思います。
 
――高校時代は山岡選手のスライダーをバットに当てられる選手のほうが少なかったですよね。
 
はい。自分、バッターじゃないのでわからないですけど、打席に立ったときにおそらく社会人のバッターのほうが自分の近くまでボールを見られるから振ってくれないんだと思います。高校時代によく言われたのは、自分のスライダーは速いので、投げた瞬間にストレートだと思って振りにきてくれるみたいです。しかし社会人のバッターのように、近くまで見られるということは、ワンバンドになるくらいのコースのスライダーは見極められて、絶対に振らないんですよね。
 
――振らないことがわかったとき、どんなことを心掛けました?
 
全体的に高め…というかワンバウンドしないくらいのところに投げるよう変えてみました。ただ、ストレートとスライダーだけでは社会人のバッターは抑えられないなと感じました。そして、1年目の途中から「チャンジアップを使えればある程度は楽になるかな」というのがわかりましたね。今シーズンは、まずは真っ直ぐを低めに決めるよう、コントロールを重視すること。そうすればスライダーが低めでも振ってくれると思います。先ほど話をしたように、そのストレートのコントロールやキレを良くするという課題を克服して、同時に緩急をつけていければ、昨年とはまた違った投球ができると思います。

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