浦和学院と花咲徳栄の2強が軸。強豪ひしめく埼玉県、夏の甲子園2017の切符をつかむのは?
7月8日より、第99回全国高校野球選手権埼玉大会が開幕した。日程が順調に進めば、決勝は26日。県勢の悲願となる夏の甲子園初優勝へ向けて、熾烈な争いが繰り広げられるだろう。
2017/07/08
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花咲徳栄は3番、4番に注目打者
一方の花咲徳栄は、スケールの大きさが目立つようになってきた。これまでは好投手を中心にロースコアの展開へ持ち込み、各打者が徹底して低く鋭い打球を狙っていく中で、足も絡めてつなぐ攻撃が持ち味だった。基本の路線は変わらないが、最近はそこに長打力と勝負強さ、そして流れに合わせてスタイルを柔軟に変化させる幅も加わった印象なのだ。
さらに昨夏なら左腕の髙橋昂也(広島)や岡﨑大輔(オリックス)、一昨年の大瀧愛斗(西武)など、プロ入りする人材も輩出。これはスカウティングの充実もさることながら、岩井隆監督のチーム作りと選手育成の手腕によるところが大きいだろう。
今夏のチームにも、注目選手が目白押しだ。まず、県ナンバーワン野手の三番・西川愛也。昨年は春夏の甲子園で2年生ながら四番に座ったが、もともとミート力が高く、どんなコースでもうまく打ち返す巧さを持つタイプ。ここに冬を経てリストの強さと握力が加わっており、打撃練習を見ていると、なぜこんなにも難しい球をバンバン遠くへ飛ばせるのだろうと惚れ惚れしてしまう。
そして、2年生四番の野村佑希は天性のスラッガー。今春の関東大会、早稲田実戦でも技ありの一発を放つなど注目を集めており、現在も本塁打の量産態勢に入っている。岩井監督が「命中率が高くてほとんど空振りをしない」と絶賛する千丸剛、チーム一の俊足を誇る太刀岡蓮、一発長打が魅力の須永光と周りを固める打者もバラエティに富んでおり、切れ目のない打線に仕上がっている。ならば投手は、と言うと149キロ右腕・清水達也の直球にはバズーカ砲のような重さがあり、エース右腕・綱脇彗はベース上での威力がある直球、多彩な変化球をうまく使って試合を作れる。また野村もすでに球速140キロを超えており、タレントは豊富だ。
2校以外にも実力校揃い
2強に死角はなさそうだが、その背中を追う各チームも侮れない。山本大貴、又吉一瑳ら強打者揃いの春日部共栄。左腕のメンディス海ら、旧チームの主力が多数残る市川越。140キロ右腕・米倉貫太など、将来性豊かな2年生を主体とする埼玉栄。投手3本柱の継投と打線のつながりで勝負する浦和実。攻守のバランスが取れている聖望学園に、投打の軸がしっかりしている大宮東。春の活躍でドラフト候補に名乗りを挙げた146キロ右腕・布川雄大の武南や、好左腕の桐敷拓馬を擁する本庄東。小松原から校名を変更し、3年目の今春に8強と勢いに乗る叡明……。
まだまだ、挙げればキリがない。実力十分の埼玉を制するのは果たして――。
書籍紹介
『高校野球 埼玉を戦う監督たち』
深紅の大旗を最初に勝ち獲るのはどこか?
プロ野球選手を多数輩出。名門校・強豪校・新興校ひしめく全国有数の激戦区も、埼玉県勢はいまだ夏の甲子園で優勝なし。高校野球にかける指導者、6者6様のライバル物語
第1章 浦和学院 森 士監督
第2章 春日部共栄 本多 利治監督
第3章 聖望学園 岡本 幹成監督
第4章 花咲徳栄 岩井 隆監督
第5章 上尾 高野 和樹監督
第6章 松山 瀧島 達也監督
【特別収録】僕の埼玉高校野球
土肥義弘(春日部共栄→西武 現埼玉西武ライオンズ一軍投手コーチ)
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