広陵・中村奨成、求む”我慢の育成”。日本背負う強肩強打の捕手になりうる逸材に【小宮山悟の眼】
今夏の甲子園でブレークを果たした広陵・中村奨成捕手。きょう9月1日に開幕する「第28回WBSC U-18ベースボールワールドカップ」の代表メンバーにも召集され、さらなる活躍に期待が高まる。
2017/09/01
チームによって左右される捕手の育成
捕手の育成はチーム編成によっても左右される。どうしても捕手が必要だという球団に入れば、若くしてレギュラーになれるだろう。一方、若い正捕手がいるチームだと出番は少ないだろうし、コンバートの可能性も浮上してくる。
コンバートせずに、今のレギュラーが数年後にバックアップに回るという形が理想的で、そこがフロントの腕の見せ所だろう。
ベテラン捕手がいるチームに入団できたら幸運だ。英才教育を受けて、1年後にバトンタッチという形になれば、いい世代交代を図れる。
例えば、広島の正捕手・石原は大ベテランの域だ。曾澤とマスクを分け合っているが、石原のような捕手を身近で感じて色々な事を教えてもらうというのは、若手にとってはいい経験になる。
キャッチャーというポジションは育てるのが本当に難しい。キャリアのない選手には務めることはできないし、経験を積んでようやく一人前になる。若いうちは多少のことには目をつぶって試合に出してもらうほかない。
中村は、将来の日本を背負う強肩強打の捕手になりうる。どう育っていくのか期待しながら見守っていきたい。
小宮山悟(こみやま・さとる)
1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。