神奈川工科大・渡邉啓太 プロ入りした好投手との投げ合いを経験し、急成長【2015年ドラフト隠し玉大学生2】
全国的には無名ながら、神奈川大学リーグで実績を積み重ねる神奈川工科大・渡邉啓太。その原動力は高校時代の充たされない思いにあった。
2015/03/09
Yu Takagi
エースだから知ることができた楽しさ
入学当初の目論見通り、渡邉は1年春から登板機会を得ると、2年時からはエースとなり、秋にはベストプレーヤー賞を獲得。援護が少ない同大の打線ながら、粘り強く大崩れしない投球が実った結果だった。
またこの年の開幕戦では、今秋のドラフトでも上位候補に挙がる右腕である桐蔭横浜大の横山弘樹(現NTT東日本)と白熱の投げ合いを展開。渡邉は無安打無失点投球で9回を終えたが、味方打線が横山から点を奪えず。10回からはタイブレーク導入となったため、記録は幻となったが、この頃から渡邉の活躍がチームの順位にも反映されるようになる。
この秋以前は、入替戦行きが珍しくなかった同大だが、ここから3季連続で4位をキープ。そして、エースとして1回戦のマウンドに立ち続けたことで、掴むものが多くあった。まず横山をはじめ、横浜商科大の岩貞祐太(現阪神)や西宮悠介(現楽天)ら好投手との投げ合いを経験できたこと。
次に念願のエースとなって、新たな「投手の楽しさ」を知ったことだ。
「高校では、自信がつくような場面で投げることがなかったので、大学で頼りにされているのがうれしくて気持ち良かったです」と今でも笑顔で、その楽しさに気づいた時を振り返る。
またリーグ戦で同じ打者・同じチームと対戦していくことにより、「戦う相手の弱点がわかるようになって、頭を使うようになりました。高校の時は、ただ投げたいという気持ちが先走っていましたが、今では打者1人1人と向き合ってアウトにするのが楽しいんです」と続けた。
今年の目標はチームを優勝そして神宮(全国大会)に導くこと、そしてプロ入りと定めた。
「この大学に来て、プロを本気で意識できるようになったので、今の段階ではやはりプロを目指したいです」
高校時代に憧れた舞台をその手で掴んだ渡邉は、次なる憧れの舞台に行けるのか――。今春の彼の右腕にはチームの浮沈だけでなく、自らの将来もかかっている。
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