助っ人選手の発掘も? “サッカー大国”で開催される野球大会の実情【カリビアンシリーズ戦記】
メキシコでカリビアンシリーズが開幕した。カリブ海地域の強豪が集う同大会は、NPB球団にとっても助っ人選手を発掘する貴重な場となる。一方で、野球ではなくサッカーへの関心が高いメキシコで、カリビアンシリーズはどのように受け止められているのか。(取材・文:高橋康光)
2018/02/09
Yasumitsu Takahashi
地元での関心は「本田圭佑」
第60回カリビアンシリーズが2月2日、メキシコ第2の都市グアダラハラで開幕した。日本人には馴染みの薄い大会だが、カリブ海地域のウインターリーグ王者が集う伝統ある大会だ。参加国、レギュレーションの変更はあるものの、近年はドミニカ共和国、プエルトリコ、メキシコ、ベネズエラの4国と招待国キューバを含めた5ヶ国での争いが続いている。
国際的なスポーツとしての野球を象徴するといえるこの大会だが、”サッカー国”として名高いメキシコではどのように受け止められているのかが非常に興味深く、それをこの目にすべく現地へと乗り込んだ。
グアダラハラの空港へ降り立つとカリビアンシリーズ用のデスクが一つ設置されていたが、人気もなく、受付嬢も暇そうだ。そして、空港から市街地のホテルまでの30分ほどの間、タクシーの運転手との会話を楽しんだが、カリビアンシリーズ開催についての関心は皆無。一方で、地元のサッカークラブ・アトラスのサポーターだという彼は、メキシコでプレーする本田圭佑(パチューカ)を「いいプレーヤーだよね~」としきりに称賛していた。
そうこうするうちに市街地に到着するも、街中にはシリーズ開催を告げる看板や垂れ幕といったものもなく、本当にここで大会があるのかと感じさせるには十分な雰囲気だ。
翌朝、地元のスポーツ紙『esto』の1面には、何とシリーズ開幕が大々的に掲載されていた。紙面全体の情報量として圧倒的にサッカーに占拠されてはいるが、大会の開催が大きな扱いを受けていることに安堵の思いだ。