助っ人選手の発掘も? “サッカー大国”で開催される野球大会の実情【カリビアンシリーズ戦記】
メキシコでカリビアンシリーズが開幕した。カリブ海地域の強豪が集う同大会は、NPB球団にとっても助っ人選手を発掘する貴重な場となる。一方で、野球ではなくサッカーへの関心が高いメキシコで、カリビアンシリーズはどのように受け止められているのか。(取材・文:高橋康光)
2018/02/09
Yasumitsu Takahashi
MLBからも多数のスカウト
同大会を視察中の福岡ソフトバンクホークスの萩原健太中南米担当スカウトにメキシコの野球人気事情について聞いてみると、「サッカー人気が強いのは周知のとおりです。野球に関しては、地域によって差があります。太平洋側にチームが集中するウインターリーグは、3A扱いのサマーリーグより人気があり盛況です。サマーリーグの中では、モンテレイやティファナといった町では客足もいいですね。
ちなみに、今大会の会場となっているエル・エスタディオ・チャロス・デ・ハリスコは、個人的には中南米でも一番の球場だと思っています。前回大会の開催地だったクリアカンの球場もよかったですし、メキシコの野球インフラ(特にウインターリーグ)はドミニカ共和国などと比べても悪くないと思いますよ」と話してくれた。
また、地元メキシコの野球サイト『Puro Beisbol』のハビエル・セダーノ記者にもそのあたりの事情を尋ねると「もちろんこの国ではサッカーが圧倒的な一番人気です。そして次にボクシング、野球は3番目グループですね。ただ、私の住むクリアカンでは野球が断然の一番人気ですし、太平洋側は野球人気が高いですよ」と答えてくれた。
さらに、「この冬メキシコでプレーした乙坂智(DeNA)はいプレーヤーですね。驚きでした。オコエ瑠偉(楽天)は1試合のみのプレーということで残念でした。私の好きな日本人選手は筒香嘉智(DeNA)、昨季は不調でしたが中田翔(日本ハム)も好きですよ」と日本野球通の一面も見せてくれた。
そして母国メキシコでのウインターリーグに参戦していたルイス・メンドーサ(元日本ハム、阪神)にもインタビューを行ったそうで「メンドーサは、MLB挑戦する大谷翔平(エンゼルス)について、より成功の可能性が高いのは投手としてだろうと話していましたよ」とも語ってくれた。
開会式に先立って行われたキューバ代表グランマvsベネズエラ代表カリベスの一戦で大会が始まった。金曜日14:00時開始ということもあり客足はイマイチだが、それがバックネット裏を占拠するアメリカからのスカウトの数の多さを際立たせている。