中学時代はオール5。偏差値70超の二刀流、大阪桐蔭・根尾。連続V投手の偉業遂げた背景
第90回記念選抜高校野球大会は、大阪桐蔭の史上3校目となる春連覇で幕を閉じた。決勝で完投した根尾昂は、史上初の2年連続センバツ優勝投手となった。プロ注目の“二刀流”として成長した背景にはある経歴とは。
2018/04/05
Hideaki Ujihara
野球以外で培われた体幹の強さ
歓喜の輪には最後に加わった。
春連覇を果たした大阪桐蔭、根尾昂が史上初の2年連続センバツ優勝投手に輝いた。
「後ろにエースの柿木がいるので、最初から全力でいきました」
自身への達成感より、なによりもまずチームメイトに気を掛ける。立場をわきまえるような言葉の選び方はこの男の持ち味だ。
背番号「6」が示すように本職は遊撃手。打者としては広角に力強い打球を打ち返し、守備では軽やかなステップと体幹を生かした身体の使い方でゴロをさばいていく。マウンドでは決勝の舞台で見せたように140キロのストレートを見せ球に、変化球で打者を打ち取っていくのだ。
根尾のプレーやインタビューから感じるのは、彼が従来の高校球児らしからぬ素養を持っているということだ。
まず目を引くのが体幹の強さ。彼が投手として、打者として、内野手として、すべてのプレーに生かすことができている。
「身体の軸が一切ぶれないんですよね。強いといったらいいのか、体幹を上手く使えている」と、西谷浩一監督は語る。
この体幹の強さは、野球以外の動きの中で鍛えられたものだ。根尾は小学3年で野球を始める以前から、競技スキーに取り組んでいた。冬の舞台は雪上。中学時代にはアルペンスキーの男子回転で全国大会の頂点に立ち、世界大会に出場しているほどだ。
スキーは体幹の強さが求められる。根尾によれば、雪上で滑っている場合、頭を軸とした体幹がぶれてしまうとバランスが崩れ、転倒してしまう。だから競技中は常に下半身を動かし、身体がぶれないようにすることが求められる。練習もおのずと、体幹を意識したトレーニングになるという。