中学時代はオール5。偏差値70超の二刀流、大阪桐蔭・根尾。連続V投手の偉業遂げた背景
第90回記念選抜高校野球大会は、大阪桐蔭の史上3校目となる春連覇で幕を閉じた。決勝で完投した根尾昂は、史上初の2年連続センバツ優勝投手となった。プロ注目の“二刀流”として成長した背景にはある経歴とは。
2018/04/05
Hideaki Ujihara
根尾に感じる高い知的好奇心
そして、次に根尾が従来の高校球児らしくないのは、頭脳明晰であるところだ。高校生にして自己分析がしっかりとできている。
実家が診療所を営み、両親はともに医師。その影響からか彼自身も幼少期から勉学に励み、中学時代の成績はオール「5」。偏差値70超の秀才なのだ。いまも就寝前の30分やバス移動の時間などで勉強や読書を忘れない。筆者が以前に本を贈った際、プレー中とは異なる満面の笑みを浮かべ、彼の「知的好奇心」の高さを感じた。
根尾は勉強への取り組みについてこう話している。
「特に、オール5を目指してきたというわけではないんです。どの教科でも手を抜きたくないのというのが僕の中にあったので、それがいい結果に繋がったのかもしれません。先生方というのは、授業で自身がしゃべりたいことを言っているのではなく、僕たちのことを思って、準備をして話してくださっています。僕たちが知らないことを教えてくださっているので、それをしっかり聞くということが大事だと思っています」
大阪桐蔭に入学してからは勉強に掛ける時間は少なくなった。だからこそ短時間で高い質の勉強しようとすることで集中力が高まり、それが勉強にも野球にも生きたそうだ。
「1日に30分くらい集中して勉強するのと同じように、練習に励むので時間が速く過ぎると感じるようになりました。集中ができているのかな。僕にとって知らなかったことが知ることができる。野球ではできなかったことができていくようになる。その瞬間が嬉しいです。得意なことは勉強の教科にしても、野球にしても伸ばす努力をします。そして一方、分からないことや(野球で)できないことに直面したときは、理解していく努力をして(苦手を)消していこうと思っています」
スポーツをマルチに経験していくことで蓄えられた身体能力。そして、勉強にもしっかり取り組み、そこで得たことをさらに野球へとつなげてきたことが、彼の今を形成している。
誰もが成し得なかった2年連続センバツ優勝投手の偉業は、特質な取り組みの成果であるのだ。
文:氏原英明