村田修一、栃木入団のプラス効果とは? 観客増や競争激化…独立リーグに見る元NPB選手の価値
今季、村田修一内野手がルートインBCリーグ・栃木ゴールデンブレーブスに入団し、「プロ野球独立リーグ」の存在が脚光を浴びた。再びのひのき舞台を目指し、元NPB選手が独立リーグでプレーするケースは珍しくない。一度はNPBで名を馳せた有名選手は独立リーグの球団にどのような影響を与えているのだろうか。
2018/05/12
Satoshi Asa
球団の財政事情も絡む元NPB選手の獲得
無論、球団ごとの姿勢の違いには財政事情も絡んでくるだろう。現在、独立リーグはサラリーキャップ制を採用しているが、現実は「上限には程遠い状況」(某球団幹部)らしい。つまり、現在のところ、元NPBのベテランに1人あたりの上限である月40万円の報酬を与えたとしても、そのために若い選手にしわ寄せがくるような状況ではない。
また、栃木球団は比較的親会社の財政基盤がしっかりしており、選手報酬の予算も他球団に比べ恵まれているのだろう。だからこそ、他選手より人件費のかかる元NPB組を多数抱えることができるのだろう。
加えて、栃木が関東圏にあるということも優位に働いているという関係者もいる。遠隔地と言っていい四国アイランドリーグplusには、外国人選手を除くと、元NPB組は正田樹(元日本ハム)のみ。だが、東京にもっと近い埼玉をフランチャイズとする武蔵球団には、元NPB組が多いわけではない。やはり球団の財政事情が、元NPB選手を獲得するか否かの大きな分かれ目と言える。
ただ、元NPB組と言っても、基本的にはNPBを戦力外になっていることには間違いなく、チームの浮沈を担うような存在ではない。まだ序盤とは言え、四国リーグ、BCリーグともにNPB出身選手が多いチームが必ずしもペナントレース上位ではないことからもよくわかる。また、村田や、元NPBではないが、マニー・ラミレスなどの余程の大物でない限り、観客動員やグッズ販売を飛躍的に伸ばせるものでもない。
そう考えると、彼らNPB組の独立リーグにおける価値は、トップに身を置くことによって培った野球に対する姿勢、プロとしての生きざまにあるのかもしれない。
文・阿佐智