慶応、センバツの雪辱晴らす“捲土重来” 劇的サヨナラ打の宮尾「最後決めてやろうと」【全国高校野球】
2018/08/05
<第1日 第3試合 1回戦 ○慶応3×―2高岡商●>
第100回全国高校野球選手権記念大会が5日、阪神甲子園球場で開幕し、第3試合では慶応(北神奈川)が3-2で中越(新潟)にサヨナラ勝ち。10年ぶりの初戦突破を果たした。
10年ぶり出場の慶応は初回、2死一、二塁から根岸辰昇(3年)がセンターへタイムリー安打で先制に成功。3回に同点とされたが、直後の攻撃ですぐさま1点を勝ち越す。
その後は2-1のまま両チーム無得点。お互いの投手による投げ合い、守り合いが繰り広げられて1点を争う緊迫した展開になった。
中越は7回、先頭の広瀬航大(1年)がレフトへ鋭い打球を放つと、レフトを守る大川裕也(3年)がこれを後逸。広瀬は打球が転々とする間に三塁ベースを蹴り一気に同点のホームを踏んだ。
対する慶応は8回の守りで2死一、二塁のピンチを生井惇己(3年)から渡部淳一(3年)に繋いだ継投策でしのぎ切ると、延長戦突入の雰囲気が漂う9回に2死から四球と安打で一、二塁とチャンスを作る。そして、ここで宮尾将(3年)がこの試合継投により3度目のマウンドに登った山田叶夢(3年)からセンターへのサヨナラタイムリー安打を放ち、3-2で勝利を収めた。
慶応は今春センバツ初戦敗退の悔しさを晴らす勝利。一方、中越は2015年、2016年に続いてのサヨナラ負けで24年ぶりとなる初戦突破はならなかった。
試合後、慶応の森林貴彦監督は、9回の攻撃について「9回表、2番手の渡部がリズムよく(アウトを)取ってくれたので、裏の攻撃に繋がった」とコメント。「辛抱していれば必ずチャンスが来る。『どうせ勝つならサヨナラ勝ちだ』と盛り上げた」と守備から勢いに乗った攻防を振り返った。
試合前には「捲土重来(一度失敗した者が、再び勢いを盛り返し巻き返すこと)」と選手たちに伝えた指揮官。「春のセンバツで、この素晴らしい舞台で負けるという悔しさを味わった。今度はこの舞台で勝つという『捲土重来』を果たしてくれた選手に感謝したい」と進学校を率いる人物らしいコメントで選手たちを労っている。
また、サヨナラタイムリー安打を放った宮尾は「最後は決めてやろうと打席に入った。春は自分が打てなくて敗れていたので、その分を晴らせて嬉しい」と、この日3度左投手との対戦を仕掛けられたが、最後に結果を残した打席を喜んだ。
前回90回大会以来、10年ぶりに夏の甲子園勝利を掴んだ慶応。次戦は大会第8日、山梨学院(山梨)と高知商(高知)の勝者と対戦する。