大阪桐蔭・根尾、ピンチ救った“普通に見える”ビッグプレー。強い体幹とバランスから生まれた妙技
第100回全国高校野球選手権記念大会(阪神甲子園球場)で6日、大阪桐蔭(北大阪)-作新学院(栃木)が行われた。大阪桐蔭が3-1で勝利したが、9回には無死一、二塁のピンチを迎えていた。そんな窮地で遊撃を守る根尾昂内野手が華麗なるプレーを見せた。
2018/08/07
スキーで鍛えた体幹があるからこそのプレー
幼少期、スキーをすることによって鍛えてきた体幹の力が人より強く、身体をバランスよく使えるようにしているからである。昨年の春のセンバツでも、セカンドベースよりやや前のボールをシングルハンドで捕球して、ボールを持ち替え、アウトにするというプレーを何度か見せた。
ボールを捕球し、身体を立て直してからでは時間がかかる。体幹の強さで体のバランスを取ることができる根尾は、二遊間方向に身体を向けたままランニングスローで一塁に送球できるのだ。
作新学院戦のプレーは「バウンドが合わなかったから」と根尾は振り返っているが、橋本翔太郎コーチはあのプレーの選択をこう説明する。
「バウンドが合わないのに、両手でいくと逆にはじいてしまうんですよ。それなら両手で行くより、その時間分、一歩前に出て片手でグラブを出した方がエラーはしないと思います。次の動作、スローイングに早く移れるというのももちろんあります。しかし、そのプレーを選択してエラーをしたときに、傍から見れば軽いプレーには見えると思います。ただ根尾はハンドリングが上手いので、あの場面では良い選択だったと思います。彼の良さが出たと思います」
試合の場面を大きく左右する場面で飛び出た、“普通のプレー”に見えるビッグプレーは「正面で捕球する、両手で捕る」と言われる野球の基本を度外視したプレーだった。
有友茂史部長が最後に言った指摘は実に的を射ていた。
「点差があるんで、1個ずつアウトを取ってもいいんですけど、そこでああいうプレーをするのが根尾ワールドだということでしょう」
史上初となる春夏連覇へ向けて好発進を見せた大阪桐蔭の初勝利にわく中、根尾にみせられた華麗なる併殺プレーに、酔いしれた観客は少なくなかったはずだ。
文・氏原英明