近江・有馬諒、給水直後に劇的サヨナラ打 指揮官も安堵の一打に「初球狙っていた」【全国高校野球】
2018/08/13
Kana Yamagishi
<第9日 第3試合 2回戦 ○近江4×―3前橋育英●>
第100回全国高校野球選手権記念大会は13日、阪神甲子園球場で第9日を迎え、第3試合では近江(滋賀)が前橋育英(群馬)を4-3で破って3回戦進出を決めた。
近江は初回、1死一、二塁から北村恵吾(3年)がライトへタイムリー安打を放って1点を先制。対する前橋育英は2回1死満塁のチャンスを作り、恩田慧吾(3年)の2点タイムリーで逆転すると、続く笹沢大和(3年)がスクイズを成功させて3-1とした。
その後は前橋育英の恩田と近江の2番手・林優樹(2年)の投げ合いで、そのまま試合は6回へ。6回、2点を追う近江は1死から3連打で満塁とすると、3番の家田陸翔(3年)が2点タイムリー安打を放って3-3の同点に追い付く。
9回、2死一、二塁から無得点に終わった前橋育英に対して、逆に近江は相手のエラー、安打、四球で無死満塁とサヨナラの絶好のチャンス。一旦給水のタイムが取られた後に試合が再開し、打席の有馬諒(2年)は恩田の初球を捉えて中前へ抜けるサヨナラタイムリー安打を放ち、4-3で近江が劇的な勝利を収めた。捕手の有馬にとっては、好リリーフを見せた林の球を受けてきただけに、好投に報いる嬉しい一打となった。
試合後、近江の多賀章仁監督はサヨナラ勝利に「こういう勝ち方ができれば最高だと思っていた。本当によくやってくれた」と喜びのコメント。「3点(勝負)」ということを言っていた。何とか2点、3点に抑えて4点、5点取りたいという思いでいた。それをやりきってくれた」と一時は劣勢になりながらも粘り強く戦った選手たちを称えた。
勝因を聞かれると、「やっぱり(好リリーフの)林に尽きる。あれが彼本来のピッチング。まだ2年生だが、大舞台であれだけのピッチングをしてくれた。有馬とのコンビも非常に良かった」と労い、「(相手の打者が)タイミングが合っていなかった。特に右打者へのチェンジアップは有効で、これは大丈夫かなと」と躍動感あるフォームとチェンジアップで前橋育英打線を翻弄した左腕の好投を絶賛した。
そして、サヨナラの場面については「有馬は今日も苦しんでいた。最初に3点を取られ、捕手として元気がなかったが、それをああいう(満塁の)場面で笑顔が見られたので、初球を思い切って振ってくれた」と責任感ある扇の要の一打に安堵の表情を浮かべた。
その有馬は、インタビューで「最高の気分です」と劇的勝利に喜びの第一声。「ベンチからは先輩たちから『楽しんでいけ』と声を掛けられた」といい、「初球のストレートを狙って思いきり振ることができた」と振り返った。守る方では「林がしっかり準備ができていたので、あの投球が勝利に繋がった」と同級生のリリーフ左腕の好投を称えながら汗をぬぐっていた。また、今後に向けては「ベスト8以上が目標。次勝って目標を達成したい」と力強く語っている。
近江の次戦は第13日の第1試合で、相手は常葉大菊川(静岡)と日南学園(宮崎)の勝者となる。