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守り勝った金足農、指揮官の思い通じ初決勝 吉田「疲れなかった」東北県勢初Vへ意気込む【全国高校野球】

2018/08/20

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Kana Yamagishi



<第15日 第1試合 準決勝 ○金足農2―1日大三●>
 
 第100回全国高校野球選手権記念大会は20日、阪神甲子園球場で第15日を迎え、準決勝第1試合では金足農(秋田)が日大三(西東京)を2-1で破り同校初の決勝進出。秋田県勢としては1915年の第1回大会以来103年ぶりの決勝進出を果たした。
 
 金足農は初回、日大三の先発・広沢優(2年)に対し2死二塁とチャンスを作ると、4番の打川和輝(3年)が左前へタイムリー安打を放ちいきなり先制点を挙げた。
 
 準々決勝までに4戦計615球を投げた金足農の先発・吉田輝星(3年)は、2回に2死三塁のピンチを空振り三振で気抜け無失点。その後も、速球だけでなくフォークなどの変化球を駆使しながら気迫の込もった投球で強打の日大三打線を封じていった。
 
 金足農の打線は、4回途中からリリーフした河村唯人(3年)の前にチャンスを打ち消されていたが、5回に突破口を開く。先頭の佐々木大夢が四球で出塁し、吉田のバントで走者を二塁に送ると、2死後に大友が中前安打を放ち、佐々木大夢が生還して金足農が貴重な1点を追加。2-0とリードを広げた。
 
 一方、日大三は8回、1死から金子凌(3年)と木代成(3年)が連続安打で一、二塁のチャンスを作ると、その後2死一、三塁として4番の大塚が吉田の内角の速球を弾き返して左間へタイムリー安打。2-1と1点差に詰め寄った。しかし吉田が踏ん張り切って追い付くまでには至らず。
 
 9回、吉田は日大三に一、二塁まで攻め込まれるも、この日最速の148キロを計測するなど無失点で抑えて、132球で5試合連続完投。金足農が2-1で勝利し、初の決勝進出を決めた。秋田県勢としては、1915年の第1回大会で準優勝した秋田高以来103年ぶりの決勝進出となる。
 
 試合後、金足農の中泉一豊監督は「吉田がよく踏ん張って放った」とまずエース右腕の奮闘ぶりを称えた。一方で、「あれは私のミス」と振り返ったのは、8回の満塁のチャンスでスクイズを外され失敗した場面。
 
 しかし、それを嫌なムードにしなかったのは守りだった。「何とか守ってほしいと思っていた」と指揮官が話す通り、8回に1点を返されたものの、吉田を中心に最少失点で切り抜けたことが、勝利へのリズムを生んだともいえる。
 
 今大会劇的な攻撃で勝ち進んできた金足農だが、その戦いの陰で常に光っていた守備が再三のピンチを救い勝利を呼んだ。
 
 日大三打線を「粘りがある。簡単には3アウトを取られない」とその脅威を語りながらも、「みんなで声を掛けてしっかり守ってくれた」と接戦に持ち込んでカギになった守備を勝因の1つに挙げている。
 
 そして、この試合134球を投げ抜き、完投でチームを決勝進出に導いた吉田は「今まではみんなに打ってカバーしてもらっていた」と話し、「みんなのミスは今度は自分がカバーするんだという思い」を持って、バント処理で二塁で封殺にするなど、投球とともに好フィールディングでもナインを引っ張った試合を振り返った。
 
 試合中は笑顔を見せながら、終始チームメイトを鼓舞。ここ4戦で600球以上を投げていたが、「試合の疲れはなかった」とキッパリ。いよいよ迎える決勝戦については「秋田の期待も、東北初の優勝旗という期待も背負って絶対に勝ちたい。最後までみんなで笑っていられるように、自分がゼロで抑えたい」と背番号1の背中は力強く語った。



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