金足農・吉田輝星、満身創痍で立った決勝のマウンド。途中降板、あふれた悔し涙「優勝届けられず残念」【全国高校野球】
2018/08/21
Kana Yamagishi
<第16日 決勝 大阪桐蔭13-2金足農>
満身創痍――。金足農のエース・吉田輝星が決勝戦で見せた姿はまさしくそのものだった。
「試合前から少し疲れは感じてた」
吉田は試合後にそう明かした。秋田大会5試合を一人で投げぬき、準決勝までの5試合も完投する剛腕ぶりを見せた。だが、決勝戦はいつもの雄叫びは出ず、明らかに疲れの表情を浮かべていた。
「前向きな気持ちでいけば……」。試合前の不安を払しょくしようとしたが、強力打線の大阪桐蔭相手に気力だけでは太刀打ちできなかった。
体に力が入らなくなったという4回に宮崎仁斗に3ラン、さらに5回に根尾昂に2ランを浴び、6点を失った。ぐったりする吉田のもとに二塁手・菅原天空や捕手の菊地亮太が何度も駆け寄り、エースを鼓舞した。
だが、1-12の大量ビハインドとなった6回、ついに吉田は降板した。
人一倍、マウンドへのこだわりを見せていたエースは、打川和輝に後を託してライトの守備に就いた。
「勝ちたいと思った」。疲れている自分より、打川が投げることが勝利につながると思ったと心境を語る。地方大会からレギュラー9人が一度も交代することなく戦ってきた金足農。最後も同じ9人でグラウンドに立った。
7回表に粘りの1点を挙げたが、勝利には程遠かった。11点差をつけられての準優勝。試合後は涙があふれ、仲間に支えられて整列した。
チームを初の決勝に導いたが、東北勢初Vとはいかなかった。「優勝を届けられず残念です」。そう悔しさをにじませた。