「家は退屈、自分はまだプレーできる」フリオ・フランコが日本に戻ってきた理由
MLB、NPBなど世界で数々の実績をあげてきたフリオ・フランコが、今季日本に戻ってきた。現在、ルートインBCリーグの石川ミリオンスターズの選手兼任監督として戦う、レジェンドはなぜ石川でプレーすることを選択したのだろうか?
2015/05/08
阿佐智
なぜ日本に戻ってきたのか?
「自分はまだプレーできると思ったから、戻ったまでだ。家でじっとしてるのも退屈だしね」
現役復帰に関して、レジェンドの答えはそっけなかった。なぜそんなことを聞くのかという風に、少々戸惑いながら質問に答えてくれた。それでも世界最高峰のメジャーリーグである意味頂点まで登りつめた男がいまさら「プロ野球の果て」である独立リーグでプレーすることに葛藤はなかったのだろうか。
「抵抗はないよ」
この問いに対してもさらりと言ってのけた。
メキシコでの引退表明後、本格的なトレーニングはとくにしていなかったという。
「ゴルフはやってたよ(笑)。そして家でリラックス。まあ、ときどきジムには行っていたけどね」
とは言うものの、年齢の割に十分に締まった体は、現役時代の徹底した節制のたまものだろう。監督業にウェイトを置いている現在でも、試合での出番がなければ、球場を去る前にランニングを欠かさない。
それにしても、なぜ日本に戻ってきたのだろう。彼の故郷、ドミニカの野球選手は、人生の主要な時期を出稼ぎで過ごす。成功者たちは通常、生まれ故郷でゆっくりと過ごすものであるはずだ。この問いに対する返答も、非常にシンプルなものだった。
「日本が好きだからさ。韓国でもプレーしてけど、日本はやりやすいね。また、監督して迎えてくれるっていうこともあって、指導者としての新たなキャリアの始まりとしてはちょうどいいと思ったんだ」
3シーズンを過ごしたメキシコでは、2012年から2シーズン監督を務めたことがあったが、母国ではプロ球団ではなく、もっぱらアカデミーで指導をしていたという。本人の言うとおり、しばらくじっとしていて、自分の中にある野球の虫がうずいてきたのかもしれない。
日本に独立リーグができたのは、フランコが去ってかなり後のことだ。初めて目にする日本版マイナーリーグは、彼の目にどう映ったのだろう。
「去年まで独立リーグにかかわったことはなかったけど、いいリーグだと思うよ。世界的にも知名度が上がってきていて、いろんな国から選手がやってくる。そういう選手がより上を目指す、未来のあるリーグだね。選手を見ていると、昨年いたアメリカのユナイテッド・リーグよりはレベルが高いように感じるね」