戦力バランスが整った名門・日本生命、18年ぶりの黒獅子旗へ視界良好【横尾弘一の「プロにつながる社会人野球」】
今年の社会人野球は、都市対抗3回優勝の実績がある名門・日本生命が面白い。質・量ともに戦力が揃い、チーム力は確実についてきている。
2015/05/19
宮野敦子
連勝で、結果を残した春
4月後半からのJABA大会では、それまで押され気味だった西日本勢が見事な逆襲を見せた。岡山大会準決勝で大阪ガスに快勝したパナソニックは、決勝でJX-ENEOSと激突。プロも注目する江口昌太の力投でJX-ENEOSがリードし、そのまま優勝するかと思われたが、終盤の逆転でパナソニックが頂点に立つ。
続く京都大会では、日本生命、NTT西日本を加えた大阪の4チームが、いずれもリーグ戦に3戦全勝してベスト4を独占。都市対抗予選も睨んだ腹の探り合いも見られる中、投打の歯車が噛み合った日本生命が優勝した。
ベーブルース杯大会では、決勝で中日ドラゴンズをシャットアウトしたJFE西日本が優勝。九州大会は日立製作所が関東勢の意地を見せて制し、東北大会では日本生命がまたも5連勝で初優勝を果たした。この結果からもわかるように、都市対抗に最多56回の出場を誇る名門・日本生命が、18年ぶりの黒獅子旗を目指して着実に力をつけている。
都市対抗3回優勝の実績がありながら、2000年代に入ると全国の舞台で上位へ進出できなくなってしまったチームは、海田智行(現オリックス)がエースを担った2011年に都市対抗で13年ぶりのベスト8入り。その翌年には吉原正平、井上晴哉(ともに現千葉ロッテ)、小林誠司(現巨人)ら実力派ルーキーが台頭。都市対抗で2年連続8強進出を果たした。
柿田裕太(現横浜DeNA)を含めた4名がプロ入りした昨年は苦戦するかと思われたが、日本選手権でベスト4に食い込み、底力が備わってきたことを印象づけた。さらに、劣勢を跳ね返す粘り強さも備えた今季は、静岡大会こそ2勝1敗でリーグ戦敗退となったが、京都大会から東北大会まで10連勝を飾った。その一番の原動力は、戦力バランスが整ってきたことだろう。