戦力バランスが整った名門・日本生命、18年ぶりの黒獅子旗へ視界良好【横尾弘一の「プロにつながる社会人野球」】
今年の社会人野球は、都市対抗3回優勝の実績がある名門・日本生命が面白い。質・量ともに戦力が揃い、チーム力は確実についてきている。
2015/05/19
宮野敦子
ルーキーはじめ投打ともに充実
投手陣では、昨年の日本選手権優勝に貢献し、今季はプロからも注目される左腕・清水翔太が着実に成長。
その清水と同期で、左腕としてもライバルの山田和毅、本格派右腕の山形晃平も持ち味を存分に発揮している。やはりプロから熱い視線を送られながら、さらなる飛躍を期して東京情報大から入社した大型右腕・小林慶祐を筆頭にルーキーもイキがよく、公式戦での登板機会を巡って激しい競争が繰り広げられている。それに加え、7年目のベテラン・佐川仁崇、5年目・藤井貴之の両右腕も健在だ。右ヒジの故障歴がある佐川は連投こそ難しいものの、抜群の制球力と緩急を駆使した投球術でしっかりゲームを作る。十河章浩監督が「全国制覇、つまりトーナメントで5連勝するためには不可欠な存在」と期待していた藤井も安定感を高めており、京都大会は佐川、東北大会では藤井が最高殊勲選手賞に輝く好投を見せてくれた。
打線のキーマンは2年目の原田拓実だ。左打席から左右に打ち分けるバットコントロールと長打力を備えた好打者は三番を任され、京都大会では首位打者賞を手にするなど目立つ活躍を続けている。
また、原田とともにドラフト候補と目される上西主起は、打球の速さと飛距離が自慢のスラッガー。昨年は四番に座るも、ケガもあって本領を発揮することができなかったが、今季は四番にベテランの高橋英嗣、五番に5年目の廣本拓也を置き、上西が六番という打線で存在感を示している。確実性の向上という課題に取り組みながら、持ち前のパンチ力で勝利に貢献してくれるはずだ。彼らを軸にして、攻守に優れた山本真也、主将を務める岩下知永、ルーキーらしく突っ走る伊藤悠人ら、ベテラン、中堅、若手と経験値の異なる戦力が融合したことで、安定した試合運びが見られるようになった。
とはいえ、5月17日に開幕した都市対抗近畿二次予選では、和歌山箕島球友会が新日鐵住金広畑に7-0でシャットアウト勝ちするなど、何が起きても不思議ではない戦いが展開されるだろう。そこを総力戦で勝ち抜いて57回目の出場を決めれば、東京ドームでは4度目の黒獅子旗に近づけるのではないか。
【第58回JABA岡山大会の結果】
◆準決勝
JX-ENEOS 7×5 新日鐵住金東海REX
◆準決勝
パナソニック 10×5 大阪ガス
◆決勝
パナソニック 3×2 JX-ENEOS
※パナソニックは13大会ぶり3回目の優勝
◆表彰選手
最高殊勲選手賞/足立祐一捕手(パナソニック)
敢闘賞/山崎珠嗣内野手(JX-ENEOS)
首位打者賞/松本大希外野手(JX-ENEOS)=.471
最優秀投手賞/江口昌太投手(JX-ENEOS)
【第66回JABA京都大会の結果】
◆準決勝
日本生命 5×1 大阪ガス
◆準決勝
パナソニック 2×0 NTT西日本
◆決勝
日本生命 4×2 パナソニック
※日本生命は2大会ぶり10回目の優勝
◆表彰選手
最高殊勲選手賞/佐川仁崇投手(日本生命)
敢闘賞/北出浩喜投手(パナソニック)
首位打者賞/原田拓実内野手(日本生命)=.444
【第68回JABAベーブルース杯大会の結果】
◆準決勝
中日ドラゴンズ 8×1 日本通運(7回コールド)
◆準決勝
JFE西日本 2×1 TDK
◆決勝
JFE西日本 3×0 中日ドラゴンズ
※JFE西日本は初優勝
◆表彰選手
最優秀選手賞/森川達哉投手(JFE西日本)
敢闘賞/友永翔太外野手(中日ドラゴンズ)
首位打者賞/松浦大則内野手(JFE西日本)=.429
【第68回JABA九州大会の結果】
◆準決勝
三菱重工長崎 4×1 JR九州
◆準決勝
日立製作所 6×5 トヨタ自動車
◆決勝
日立製作所 2×1 三菱重工長崎
※日立製作所は8大会ぶり2回目の優勝
◆表彰選手
最高殊勲選手賞/猿川拓朗投手(日立製作所)
敢闘選手賞/鶴田翔士内野手(三菱重工長崎)
首位打者賞/田中政則内野手(日立製作所)=.500
【第46回JABA東北大会の結果】
◆準決勝
日本生命 5×4 東芝
◆準決勝
日本製紙石巻 3×0 新日鐵住金かずさマジック
◆決勝
日本生命 2×0 日本製紙石巻
※日本生命は初優勝
◆表彰選手
最高殊勲選手賞/藤井貴之投手(日本生命)
敢闘賞/齊藤侑馬投手(日本製紙石巻)
首位打者賞/廣本拓也内野手(日本生命)=.500
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