連敗を94で止めた東大、背景に「守り勝つ」野球の浸透
東京六大学春季リーグ戦、東大が連敗から脱出した。勝ち点は奪えなかったが、法政を相手にあげた1勝は秋に向けて価値あるものとなっただろう。
2015/05/25
清水岳志
与四球数が激減
東大がついに連敗から脱出した。東京六大学リーグで2010年秋から4年半にわたって続いていた数字は94にもなっていた。
春のリーグ戦対法大1回戦。1点を先制されて5回に逆転。7回には再逆転を許したが、8回に同点に追いつき延長戦へ。10回表に連打と犠打で1死2、3塁。内野手の二つの野選で2点を勝ち越した。
決勝点の場面、法大の野手を慌てさせて野選を誘ったが、浜田監督は打者と走者を呼んで内野ゴロなら本塁突入、という思い切ったゴロゴー策を授けていた。
今季の東大は粘りが出てきた。次の塁を狙う意識も貪欲になってきた。
その貪欲さは勝利に飢えていたことの証明でもある。
スローガンは「守り勝つ」。
今シーズンは二ケタ失点がない。連敗中のシーズンではなかったことだ。
投手が四球を連発し、守るリズムも悪くなって野手がエラーを重ねて失点する。悪循環の自滅……これが東大の負けるパターンだ。
前半の大量失点で相手は余裕を持ち、東大は追いつけない、と諦めてしまう展開ばかりだった。だが今季、投手はコントロールを乱すことが減り、さらに守りも安定した。
数字からもそれは表れている。
投手の与四球は53個(9試合)で、去年秋の75個(10試合)から減少している。
例えば外角低めを狙って、そこに連続して決まるまで繰り返す投球練習をしてきたという。これは2013年まで特別コーチをした桑田真澄氏の教えと練習方法。これを実践し、それが実ってきた証拠だ。
“投手陣はたとえ完投ができなくても、2回なら2回、3回なら3回を抑えきる。4人の継投で最少失点に抑えてゲームを作る”
東大の今季のゲームプランだ。勝った法政戦も4人の継投。それぞれが試合を壊さなかった。