ライバルは2015年ドラフト候補 青学大・吉田正尚と東洋大・原樹理が見せた矜持
5月23日、東都大学野球春季2部リーグ最終週となる青山学院大対東洋大1回戦が青山学院大グラウンドで行われた。立ち見が出るほどの観客が詰めかけ、プロ8球団のスカウトも集結した。
2015/05/28
高木遊
「昨夜から眠れないほど興奮しました」(吉田)
2015年5月23日。東都大学野球春季2部リーグ最終週が行われた青山学院大対東洋大1回戦の会場となった青山学院大グラウンドには、立ち見も出るほど多くの観客が詰めかけた。
数年前なら神宮球場(1部リーグ)で優勝を争うカードとして行われてもおかしくない対戦は今春、大学グラウンドが主会場となる2部リーグで行われた。
この試合にはプロ8球団12人のスカウトが集結。お目当ては青山学院大の外野手・吉田正尚(4年・敦賀気比)と東洋大のエース右腕・原樹理(4年・東洋大姫路)の2人だ。
「原は意識し合える、燃えるピッチャーですね。昨夜から眠れないほど興奮しました。楽しかったです」
この日の吉田は4打数1安打。1部昇格の可能性が前週に消滅したチームも延長11回サヨナラ負け。だが「まともにインコースを攻めてくるピッチャーはいなかったので」と、原との真っ向勝負を終え、吉田の表情は清々しいものだった。
吉田は1年春から名門で中軸を担い、2年時から大学日本代表に3年連続で選ばれている大学球界屈指の強打者だ。チームは昨秋、吉田の奮闘(打率.352、3本塁打6打点10四死球)むなしく2部に降格。だが、環境が変わっても吉田は自らのスタイルを貫き、今春も相手校のマークを受けながらも、最終的に打率.389、3本塁打10打点の好成績を残した。
視察したロッテ・諸積兼司スカウトも「ミート力が高く、打撃は言うことないですね。プロでも対応できるでしょう」とその能力に太鼓判を押した。
また昨年まではコーチとして、今季からは監督として吉田を指導する青山学院大・善波厚司監督は「昨年までは自分のスイングにはめた打撃をしていたようなところもありましたが、今年はどんな球にも対応ができるように練習から工夫が見えました」とその変化を語る。
吉田は「大学日本代表の合宿でさらに上のレベルを見て、自分はまだまだと思うこともあったので、もっと工夫したり変えたりしないとダメだなと思いました」とその理由を明かした。以前から、打撃やその考え方などは日本代表の他選手からも一目を置かれていただけに、吉田は常に刺激を求め、黙々と理想の打撃を追求しているのだろう。