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ライバルは2015年ドラフト候補 青学大・吉田正尚と東洋大・原樹理が見せた矜持

5月23日、東都大学野球春季2部リーグ最終週となる青山学院大対東洋大1回戦が青山学院大グラウンドで行われた。立ち見が出るほどの観客が詰めかけ、プロ8球団のスカウトも集結した。

2015/05/28

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高木遊



「あいつと勝負するのは、僕も楽しかったです」(原)

 一方、東洋大の原は、まだ優勝の可能性がわずかに残っていた(日本大が1敗し、東洋大が連勝すれば優勝決定戦に持ち込まれていた)ため、1回戦の11回完投に続き、翌24日の2回戦も9回を完投。
 
 前週の国士舘大との2連戦を含め、4試合連続の完投勝利で今季を締めた。

 全試合を終え、原は「だいぶ前から限界は超えていました。リーグ戦序盤から連投が続いていて結構辛かったです。(今日、他会場で日本大が勝利し)優勝はできませんでしたが(エースとしてシーズンを戦い抜けて)ホッとしています」と、肩の荷を下ろした。
 
 今季は「全試合投げるつもりでいます」と話していたが、有言実行と言ってもいいチーム全11試合中10試合に登板。8勝1敗7完投4完封、78回2/3を投げ、自責点わずか6。防御率はリーグトップの0.69でシーズンを終えた。
 
 高橋昭雄監督は「よく頑張ってくれました。原は最高の投手です」と手放しで称賛。東洋大姫路高から7年間バッテリーを組む後藤田将矢も「(昨年までと)目が全然違いました。背中も違うし、主将として、エースとして、自分がチームをどうにかしようという気持ちが伝わってきました」と精神面や姿勢面での急成長を明かした。
 
 登板過多による疲労も心配されるが、ソフトバンク・小川一夫編成・育成部部長は「エースとしてチームを背負って投げる経験や、完投することで覚える投球術は、学生野球だからこそのもの」と、そのメリットを語る。
 
 今季の原はそうした投球術や制球力の進歩が顕著で、ストレート、スライダー、フォーク、シュート系のツーシームなど多種多彩な球種を、ピンチの場面で捕手の構えたところにしっかりと決めていく姿は爽快だった。
 
 吉田のコメントを伝えると、原は笑い「僕もあいつと勝負するのは楽しかったですよ」と表情を崩した。原も吉田を意識したのは明らかで、ストレートも今季最速の148キロを吉田との対戦時に計測。連投で疲れが溜まっていたはずの2回戦も140キロ台中盤のストレートを中心とした配球で吉田と対峙した。
 
 2回戦は吉田の4打数2安打(ともに単打)だったが、「自分としては甘い球で、打球が上がらなかったので、結果としては良かったですが、打ち崩した感はあまり無いです」と、この日も吉田は職人肌らしいコメントで戦いを総括した。
 
 東都大学2部リーグは日本大が優勝を決めたため、皮肉にもこのライバル対決は今後も学生野球の聖地ではなく、それぞれの大学グラウンドで続いていく。
 だが、互いにその力を認め合う吉田と原の対決は、舞台がどこであれ、大学球界トップレベルの輝きを放つことだろう。
 
原樹理3
 
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