「世界は遠いものではないということを伝えて行きたい」。指導者としてドミニカを訪れた野球人の取り組みとは【ドミニカ野球奮闘記#3】
2019/06/19
「日本の子どものレベルはやはり高い」
これまでの2回、17歳の米内山凱君のドミニカ共和国での挑戦を取り上げてきたが、今回は、指導者という立場でドミニカを訪れた一人の野球人の取り組みにクローズアップする。
福島県出身の阿部翔太さんは現在28歳。小学2年生から野球をプレーし、いわき光洋高校から桜美林大学へと進学、そこでは、佐々木千隼投手(千葉ロッテマリーンズ)、川相拓也氏(元読売ジャイアンツ育成選手)らNPBの門を叩いた選手たちともプレーしていた。
大学卒業後は、小学校教諭や一般職についていた阿部さんだったが、野球への想いは熱く、2016年に青年海外協力隊に参加し、約2年に渡り中米のニカラグアで野球指導活動を行った。活動期間中には同国女子野球リーグの発足に尽力し、日本から清宮幸太郎選手(北海道日本ハムファイターズ)らが参加し話題を集めた2017年のU-18ワールドカップでは、ニカラグア代表チームのスタッフとして参加するなど精力的に活動を行った。
そんな阿部さんがドミニカ共和国の首都サントドミンゴ市、ノエル・ウレーニャ氏(元読売ジャイアンツの育成選手)のアカデミーを訪問した。
「今回の一番の目的は、ドミニカでのプレーを希望している、女子野球,ソフトボール選手の現地コーディネートですが、それとは別に、今後の自分の活動のためにも、ドミニカのアカデミーの活動も見ておきたいと思っていました」
ウレーニャ氏のアカデミーやロサンゼルス・ドジャースのアカデミーなどを見学した阿部さんは「日本の子どものレベルはやはり高いなと思いました。もっと自信を持っていいと思います。意識をどこに置くかだと思います。例えば、日本の子は“メジャーなんてとても…”と勝手に遠いものと考えてしまいます。指導者もそうです。みんな外に出ないから気づかないだけなんです。自分の経験を通して、世界は遠いものではないということを伝えて行きたいと思います」と語る。
また、ドジャースアカデミーでは嬉しい再会もあった。U-18ニカラグア代表スタッフ時代にチームに在籍していたブディエル・エーベルト選手が、メジャーリーガーを目指しドミニカで奮闘中だった。
「ニカラグアでは、野球とボクシングが国技と言われるほど、実は野球が人気スポーツなんです。ブディエルはU-18ワールドカップでスカウトの目にとまったのですが、ニカラグア国内にはリーグもありますし、MLBのスカウトもチェックに訪れていますよ」