大船渡・佐々木朗希は温存されたのか酷使されたのか。日米間で隔たる認識、決勝登板なしは“当たり前”
2019/07/26
投球数無制限はありえない
大船渡高校の佐々木朗希投手(3年)が高校野球岩手大会の決勝戦に出場しなかった。同高校が敗退し、甲子園出場を逃したこともあって、国保監督の判断には賛否両論があるだろうが、このことを日本の多くのメディアは国保監督が佐々木投手を温存したと報道している。
だが、米国の相当な野球通でも、この「温存」という単語の意味を理解すると、首を傾げることになるだろう。高校生で160キロ超を投げる逸材は米国でも珍しい。だから佐々木投手の活躍については、米国のニュースサイトでも伝えているところがいくつかあるが、その内容には日本のそれとはかなり異なる部分がある。米国野球の常識では、今大会の佐々木投手の投球数と登板間隔は酷使以外のなにものでもなく、もし佐々木投手に興味をもつメジャーリーグのスカウトがいるとしたら、一様に肩や肘の故障を危惧しているに違いない。
米国の高校野球には投球数制限のルールがある。州によって多少の違いはあるが、日本の高校野球のように無制限というところはまずありえない。少なくとも筆者は聞いたことがない。
米国でも最も野球が盛んな州の1つであるカリフォルニア州を例にとると、高校野球の投球数に関するルールは以下の通りだ。
1) 1試合の投球数は110球まで。
2) 1試合で31~50球を投げた場合は、次の登板までの間隔は最低1日。
3) 1試合で51~75球を投げた場合は、次の登板までの間隔は最低2日。
4) 1試合で76球以上を投げた場合は、次の登板までの間隔は最低3日。
これは最上級生(Varsity)チームに適用されるルールであり、それより下の学年にはさらに厳格なルールがある。