元甲子園球児がドミニカで指導者の道へ。アカデミーでは「ポテンシャルを伸ばすことを重要視」【ドミニカ野球奮闘記#4】
2019/07/31
高橋康光
「“ここだ”という感覚がありました」
メジャーリーガーを大量に送り込むドミニカ共和国。その地で、その役割を担おうと奮闘する日本人がいる。藤田直人さん(25歳)はドミニカ共和国のアカデミーで、メジャーリーガーを目指す現地の少年たちに指導を行っている。
兵庫県出身の藤田さんは、神村学園高校時代に甲子園出場経験を持つ元高校球児だが、「甲子園で後にプロになる選手たちを見て、プレーヤーとしてはここまでかなという気はありました」という思いから、短大へ進学し外国語を学ぶという道を選択。父親も球界関係で仕事をされているということもあり、藤田さんにとって野球に携わること、世界に出ることは、非常に自然な流れだったようだ。
そして、短大卒業後にドミニカ共和国へと旅立つ。「ドミニカ出身のロビンソン・カノー選手、デービッド・オルティス選手のファンでしたし、スペイン語を学んで通訳になりたいと思いました。最初は旅行で行ったのですが、自分の中で“ここだ”という感覚がありました」と藤田さんは言う。
ドミニカに生活の拠点を移した藤田さんだったが、同じくドミニカを拠点に活動している福岡ソフトバンクホークスの萩原健太中南米担当スカウトと出会ったことが一つの転機となった。かつて萩原氏自身も運営に携わった現地アカデミーでの活動サポートを依頼され、そこで指導者としての活動をスタートさせることとなったのだ。
現在は、15歳~17歳のプロを目指す3人のドミニカ人の若者と寝食を共にしながら、日々指導に励んでいる。藤田さんが指導を行うアカデミーではMLB球団との契約を目指す少年たちが常時25人~30人ほどいるという。
「ドミニカでは学校に行っても就ける仕事は限られているので、野球選手になるために学校に行かずに野球に取り組む子も少なくないので、彼らの将来に寄り添ってあげたいと思っています」と藤田さんは語る。