八戸学院光星・沢波大和、“甲子園の神様”連れ戻しV打 背番号「18」の好調男は強気の教えを胸に【全国高校野球】
2019/08/12
仲井監督「チャンスの時は弱気になったらダメだぞ」
<第7日 第3試合 2回戦 ○八戸学院光星 10―8 智弁学園●>(12日、阪神甲子園球場)
第101回全国高校野球選手権大会は12日に7日目を迎え、第3試合は開幕戦に勝利した八戸学院光星(青森)が49代表最後の登場となった智弁学園(奈良)を打撃戦の末に下して3回戦に進出した。
仲井宗基監督が勝因を「何と言っていいか分からない。ちょこっとの差が出た」と話すように、開幕戦を経て2戦目となった八戸学院光星が底力を見せ僅差の試合を制した。
序盤は八戸学院光星のペース。初回に近藤遼一(3年)の一発で1点を先制すると、3回には武岡龍世(3年)にも本塁打が飛び出すなど3点を挙げ4-0とリードを広げた。
しかし、指揮官は「完全に互角」と表現した6回に落とし穴にはまった。7-1と6点差から2点を返されてなおも満塁で2番手・山田怜卓(3年)が適時打とエラーで1点差に詰め寄られる。そして1年生の4番・前川右京に2点適時打を浴びて7-8と逆転された。
しかし、その後終盤8回に追い付き、続く9回は満塁チャンス。ここで打席に向かった途中出場の沢波大和(3年)に仲井監督が送ったのは「チャンスの時は弱気になったらダメだぞ。甲子園は弱気になったり、逃げたりすると勝利の女神、甲子園の神様が応援してくれない」という言葉だった。
そしてその沢波が初球に強いスイングで放った打球は、一塁手を強襲する決勝点となる2点適時打。チームを救う一打を放った沢波は、「率直に嬉しい」と第一声。直前の打者が敬遠されて迎えての打席だったが、「絶対に初球から振っていってやろうと思って打席に入った」という。
打球は「捕られてしまうんじゃないか」と思うほどの正面を突く打球だったものの、一塁手が弾いてボールが転々とする間に2者が生還した。
青森大会で打率.333と好調だった背番号「18」の男はスタメンこそ仲間に譲ったが、最後は相手の方へに行きかけた“甲子園の神様”を連れ戻し、チームを救う一打。最後は「本当に嬉しい」と満面の笑顔を見せた。
取材・氏原英明、文・ベースボールチャンネル編集部