智弁和歌山、11年ぶり1イニング3本塁打の猛打で逆転 明徳義塾との名門対決制し8年ぶり3回戦進出【全国高校野球】
2019/08/13
「ジョックロック」を背に、それまで苦戦の2年生をを7回にKO
<第8日 第3試合 2回戦 ○智弁和歌山 7―1 明徳義塾●>(13日、阪神甲子園球場)
第101回全国高校野球選手権大会は13日に8日目を迎え、第3試合ではともに甲子園優勝経験を持つ智弁和歌山(和歌山)と明徳義塾(高知)という名門同士の激突。智弁和歌山が終盤の大爆発で8年ぶりの3回戦進出を決めた。
2000年を含む夏2度の優勝を誇る智弁和歌山と、2002年の夏に初優勝を飾った明徳義塾の対戦。伝統・名門・強豪同士の戦いは2回戦の中でも屈指の好カードとなった。
序盤から中盤にかけて繰り広げられたのは打撃戦ではなく、投手戦。明徳義塾・新地智也と智弁和歌山・矢田真那斗の両2年生が先発し、新地が初回に3者凡退に抑えれば、矢田は直後の投球で2死満塁のピンチをしのぐ立ち上がりとなった。
続く2回はお互い走者を背負うも無失点。3回はともに3者凡退とお互い譲らない。
明徳義塾の新地は4回、先頭から2者連続安打を許し一、二塁とされたが、4番・徳丸天晴(1年)は送りバント失敗に打ち取り、後続も二飛と二ゴロと立て続けに仕留めてピンチを脱した。
対する智弁和歌山の矢田は、4回を無失点に抑えたものの、続く5回は1死から古沢怜大(3年)を死球で歩かせると、送りバントを決められ2死二塁のピンチ。ここで3番・鈴木大照(2年)に中前へ適時打を浴び1点を先制された。
均衡を破った明徳義塾は、グラウンド整備明けの6回も新地が無失点に抑えると、一方の智弁和歌山は2番手としてマウンドに送ったエースの池田陽佑(3年)が3者凡退に打ち取って1-0のまま終盤を迎えることになった。
先攻の智弁和歌山は7回、先頭の1死から池田が中前に落ちる当たりで二塁を陥れる好走塁。二塁打で一打同点のチャンスを作る。ここで9番・綾原創太(2年)はカウント1-0から左肘に投球が当たるものの死球と判定されずストライク。しかし、直後に放った打球は一塁手のエラーを誘い一、三塁とした。
一塁側アルプススタンドからチャンステーマ「ジョックロック」が流れる中で打席に向かった主将の1番・黒川史陽(3年)は、フルカウントから新地の速球を弾き返すと、打球は遊撃の前で高く跳ねて中前へ抜ける適時打に。黒川にとってこの夏甲子園で初めての安打が貴重な同点打となった。
なおも一、二塁のチャンスで、2番の細川凌平(2年)はカウント2-2からの真ん中の速球を完璧に捉え、打球は右翼スタンドに飛び込む起死回生の勝ち越し3ラン本塁打。新地を捉えて4-1と一気に逆転した。
智弁和歌山打線の猛威はまだ止まらない。3番・西川晋太郎(3年)が中前安打で出塁すると、2死後に5番・根来塁(3年)が再び右翼スタンドへ2ラン本塁打。さらに続く6番・東妻純平(3年)も中堅バックスクリーン右へ大会24号の特大ソロ本塁打を放ち、この回驚異の3本塁打で一挙7得点し7-1と明徳義塾を突き離した。
なお、1チームの1イニング3本塁打は2008年の智弁和歌山以来11年ぶりの快挙となっている(第90回大会の3回戦、相手:駒大岩見沢 坂口真規が2本、勝谷直紀が1本)。
一転して大量6点を追うことになった明徳義塾は、直後に1死から新地に代わって2番手として登板した服部遼馬(3年)が二塁打で出塁するも後続が2者連続で凡退に倒れ無得点。流れは完全に智弁和歌山ペースとなった。
智弁和歌山は、6回から登板の池田が走者を背負いながらも明徳義塾打線に決定打を許さず、4イニング連続無失点の好リリーフ。そのまま7-1で明徳義塾を下し、夏は2011年以来8年ぶりとなる3回戦進出を決めた。
一方、敗れた明徳義塾は、新地が中盤まで強打の智弁和歌山打線を翻弄したものの7回につかまり、打線も援護するすることができず。4強入りした2016年以来3年ぶりの3回戦進出はならなかった。