智弁和歌山、指揮官が称えた「頼もしい」エース池田陽佑 「怖さしかない」明徳義塾に投打で“火付け役”【全国高校野球】
2019/08/13
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6回から登板し3者凡退、直後に二塁打で猛打の口火
<第8日 第3試合 2回戦 ○智弁和歌山 7―1 明徳義塾●>(13日、阪神甲子園球場)
第101回全国高校野球選手権大会は13日に8日目を迎え、第3試合はともに甲子園優勝経験を持つ智弁和歌山(和歌山)と明徳義塾(高知)という2回戦屈指の好カード。智弁和歌山が終盤も一発攻勢で逆転勝ちし、8年ぶりの3回戦進出を果たした。
同校が持つ大会タイ記録、1イニング3本塁打を含む集中打での逆転勝ち。しかし、智弁和歌山の中谷仁監督が試合後のインタビューでまず口にしたのは、バッテリーへの評価だった。
「先制はされたが、粘ってくれた。6回から池田陽佑(3年)が出てきて流れとか雰囲気を変えてくれた。勇気が出て、攻撃に繋がった」
先発し、明徳義塾の同じ2年生の新地智也と投げ合った矢田真那斗が4回まで無失点。5回に先制点を許したものの、続いて登板したエースの池田が6回を3者凡退に抑えると、直後に味方打線が爆発した。
指揮官は「次の1点を取られるとキツいと思ったので、状態が良い池田に託した」と、ビハインドの大きさを考えながらの起用を明かした。練習試合などでは「頼りなくて不安」だったというエース。しかし、甲子園に来てからは「頼もしく見えた」と一変。「エースの風格が出てきた」と成長に笑顔が漏れた。
7回の猛打の始まりも、1死からの池田の二塁打。それが狼煙となって、7得点に繋げた。中谷監督いわく「(3本塁打は)ほとんどが風の影響」の反面、「気持ちがあそこまで運んでくれた」。チームに流れ、そして逆転へ勢いを与えたのは間違いなく池田の活躍だった。
指揮官は、自らの反省も忘れなかった。相手の研究もあって中盤までは“らしくない”沈黙。「チャンスらしいチャンスで4番にバントさせたり、僕の采配ミスで足を引っ張った」とコメント。その一方で、「選手たちがよく挽回してくれた」と称えた。
名門対決とはいえ、中谷監督は2018年秋から就任した“新米監督”。2002年夏の優勝を含めて春夏通算51勝の名将・馬淵史郎監督との対決については、「最後の最後まで怖さしかなかった」。9回は1死から連続で代打を起用する“マジック”を見せ不発に終わったものの、その名将の手腕と高校野球の怖さを最後まで感じていた。
次戦の相手は、第2試合で立命館宇治を下した星稜。プロも注目する好投手の奥川恭伸(3年)はリリーフで自身最速を更新する154キロをマークした。名門との対戦が続くが、指揮官は「ウチは36人全員でぶつかっていくだけ。何とか良いゲームをできるように準備したい」と、ベンチ入りの18人だけでなく部員全員で相手に向かっていく姿勢を示した。
取材・氏原英明、文・ベースボールチャンネル編集部