関東一「1点勝っていれば」勝ち。相手の4失策を全て得点に 指揮官「我慢」の無失策を労う【全国高校野球】
2019/08/14
2試合で失策「1」。打たれても、守備はほころばず
<第9日 第3試合 2回戦 ○関東一 6―5 熊本工●>(14日、阪神甲子園球場)
第101回全国高校野球選手権大会は14日に9日目を迎え、第3試合では関東一(東東京)と熊本工(熊本)が対戦。関東一が熊本の追撃をかわして4年ぶりの3回戦進出を果たした。
勝負を分けたのは守備力の差だった。試合後、スコアボードの右端の数字は熊本工が「4」、関東一には「0」が刻まれた。
先制点は関東一。3回2死一、二塁から4番・平泉遼馬(3年)の三塁への打球をさばいた熊本工・森翔太郎(2年)が悪送球し、その間に二塁走者が生還した。
直後に同点とされたが、5回に相手の悪送球も絡んで2点を勝ち越しなおも2死二塁。ここで8番・初谷健心(1年)が放った右前への当たりを熊本工・小野隆也(2年)が後逸し、二塁走者に続いて初谷も一気に生還し5-1とリードを広げた。
関東一は5-4と終盤に追い上げられながら、7回にも平泉が再び森の悪送球で出塁し、熊本工の2番手投手・村上仁将(2年)の暴投もあって三塁へ進塁。そして1死から犠飛によって6点目を入れ試合を決めた。
熊本工は試合を通じて4つのエラーを犯し、そのすべてが失点に繋がった。一方の関東一は、エース土屋大和(3年)を中心に、堅い守りが光って無失策。7安打を浴びて5失点を喫したが、捕球や送球でエラーが記録されることはなかった。
米沢貴光監督が試合後のインタビューで第一に口にしたのも守備の面。「守備ですごく我慢してくれた。土屋も我慢強く投げてくれた」と労った。
指揮官が僅差を予想していた中で「落ち着いていた」守備が最後まで光った。「最終的に1点勝っていれば」勝ち。すなわち、負けたら終わりのトーナメントで勝ち進める。
「選手たちも理解してしっかり守るということをやってくれた。慌てることなくやっていけた」。米沢監督が示す通り、点を取られても終始見せた落ち着きで4年ぶりの3回戦進出を決めることができた。
今大会も打力で沸く試合が多い一方で、関東一は2試合を通じて失策はわずか「1」。初戦の日本文理(新潟)戦では9安打6失点、この日の熊本工戦でも7安打5失点を喫したが、3回戦で待ち受ける強打の鶴岡東(山形)に対しても堅い守りで勝利を目指していく。
取材・氏原英明、文・ベースボールチャンネル編集部