仙台育英、強さの秘訣は“終盤力”。4投手を柔軟に起用する須江監督の巧みなプランニング
2019/08/15
初回4得点にも「一喜一憂しない」
<第9日 第1試合 2回戦 ○仙台育英 8―5 鳴門●>(14日、阪神甲子園球場)
第101回全国高校野球選手権大会は14日、第9日第1試合で鳴門(徳島)と仙台育英(宮城)が対戦。仙台育英が序盤のリードをいかして試合を優位に運び、2年ぶりの3回戦進出を決めた。
仙台育英は、初回に小濃塁(3年)の本塁打などで4点を先制。序盤に大きく流れを掴みながら、終盤まで集中力を切らさずに得点を重ねた。選手たちに終盤の重要性を常に意識させているという須江航監督は、「前半の得点も失点もゲームの流れの一つだと思ってやっているので、(初回の4得点にも)一喜一憂しないでやれている」と選手たちへの信頼を口にした。
また、地方大会から継投で勝ち上がっている投手起用については、「一番いいピッチャーが一番後ろにいる」のが理想であるとする指揮官。しかし、「木製の野球じゃないので、もう抑えきるっていうのは難しいですから、頭にいいピッチャーをいかないといけないっていうのも一つちゃんと考えないといけない」と、9回をいかにプランニングするかが大事であると語っている。
1回戦は左腕の笹倉世凪(1年)が先発し、大栄陽斗(3年)、伊藤樹(1年)、鈴木千寿(3年)とリレーして、飯山(長野)打線を1点に封じ込めた。
この日は、「今日は拮抗すると思ったので主導権は絶対にぎりたいと思った。なので、一番合うであろう鈴木をいきました」と背番号「10」の3年生に先発を託した。「笹倉か鈴木千寿か迷ったんですけど、映像見た限りでは(鈴木)千寿の持ち球がハマるなと思った」という指揮官の思惑通り、鈴木は鳴門打線を3回までヒット一本に抑える好投を見せた。
4回に2巡目を迎えた鳴門打線につかまったものの、2番手でサードからマウンドに上がったエース大栄がなんとか勢いを食い止めリードを守った。大栄もピンチを背負いながら6回まで投げ切り、笹倉へバトンを繋いだ。
笹倉は、7回から9回まで、鳴門打線に的を絞らせず、被安打2、無失点で試合を締めくくった。この結果には、先発に頭を悩ませた指揮官も、「左(の笹倉)が後ろにいてよかったなと」自身の継投プランに納得の表情だ。
またこの日登板がなかった伊藤についても、「県大会決勝で一番後ろで投げた経験もありますから」と、信頼は厚い。本格派の4投手が揃う仙台育英は、優勝候補にも名乗りを上げている。次戦は、敦賀気比(福井)との対戦となるが、2回戦を19得点で突破した強力打線にどのように立ち向かうのか注目だ。
取材・氏原英明、文・ベースボールチャンネル編集部