履正社、初Vに向け今夏大きく変化。岡田監督は新スタイルに手応え「作戦に幅が出てきた」【全国高校野球】
第101回全国高校野球選手権大会は17日、第11日第1試合で履正社(大阪)が高岡商(富山)を9-4で破り、準々決勝進出を決めた。3年連続夏出場の強豪相手に、履正社は今夏の新たなスタイルで打ち勝った。
2019/08/17
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「履正社のバッティングスタイルというのが根付いてきた」
それがこの夏、甲子園に入ってくるとガラリと変わった。
1、2回戦とも相手の先発投手はドラフト候補と騒がれたピッチャーだったが、レベルの高いピッチャーたちに、真っ向から向かっていったのだった。
特に2回戦では津田学園のエース・前佑囲斗を粉砕。2回裏の攻撃では、先頭の5番・内倉一冴が中前安打で出塁すると、続く野口海音には送りバントをさせなかった(結果三振)。さらに、西川黎にも強行策で挑むと右翼前安打、2死から9番の清水大成も適時打で1点を先行した。3回裏には、送りバントを使わずに集中打を集めて一気に5得点を挙げたのだった。
試合後、岡田監督は弁解するかのようにこう答えている。
「レベルに応じているというところはあります。(強行策で)気持ちを前に向けさせることも大事ですし、バントもします。僕は送りバントが消極的な作戦だとは思っていないので、選手の状態や点差などによって作戦は選んでいます」
以前まではお決まりのように、送りバントをしていた岡田監督からすれば、大きな変化といえる言葉だった。
この日対戦した高岡商戦は手強い相手だった。
3年連続出場というのもあるが、昨夏は同じ場所で大阪桐蔭を苦しめている(1−3)チームで、かつての岡田監督なら手堅い野球で向かっていてもおかしくはなない。
しかし、この日は3回の無死二塁の好機から3番の小深田に強行をさせて、一、三塁とすると、1死後、5番の内倉にもヒッティング。先制点を挙げている。相手投手がサイドであることを考えると、左打者の小深田、内倉には有利なのだが、以前まではそれでもスタイルへの固執はするものだった。
岡田監督は今日の試合後にはこう語っている。
「打てる選手が増えたというのが一つと、履正社のバッティングスタイルというのが根付いてきた。今日の1回裏は送りバントを使いましたけど、迷ったほどなんです。もちろん、ベースとしている考え方は変わらないですが、僕自身も長いこと監督をしてきましたので、作戦に幅が出てきたのかもしれませんね」
これまでのスタイルからの脱皮を図ろうというのが今の履正社だ。
ライバルの大阪桐蔭も苦しんだ相手を力づくで打ち負かしての勝利は、履正社にとって歴史的な大会になることを匂わせる。
初載冠へ向け、大きくペダルを踏み込んだことは間違いない。
氏原英明