【甲子園速報】星稜、“奥川さんを投げさせない”!チーム力爆発 満塁弾含む7打点の今井秀輔「野手でカバー」
2019/08/18
不振の先輩に代わって大活躍!指揮官「一戦ごとに力を付けていかないと」
<第12日 第3試合 準々決勝 ○星稜 17―1 仙台育英●>(18日、阪神甲子園球場)
第101回全国高校野球選手権大会は18日に12日目を迎え、第3試合ではともに夏の優勝経験が無い地域、北陸勢の星稜(石川)と東北勢の仙台育英(宮城)が対戦し、星稜が圧倒的な打力を見せつけ24年ぶりのベスト4入りを果たした。
「ここまで打てると思わなかった」。星稜・林和成監督は試合後、いつものように静かな口調で驚きと喜びを語った。
4本塁打を含む22安打17打点。石川大会5試合で11本の本塁打を放った打力がここに来て大爆発した。特に今大会初スタメンとなった2番・今井秀輔(2年)が2回に満塁本塁打を放つなど3安打7打点。本塁打、二塁打、三塁打でいずれも打点を稼ぎながら、サイクル安打まであと単打1本に迫る大活躍を見せた。
継投策を企てる仙台育英に対して組んだ戦略は「とにかく甘いボール、ベルト付近の球をしっかりとどんな球種であっても打っていこう」というシンプルなもの。その中で、「振っている中で合わせていけた」「(前日に延長14回を完投した)奥川恭伸に投げさせないように、よく打ってくれた」、と指揮官は振り返った。
今井に対しては「本当に驚き。本塁打を打ってくれるとは思っていなかった。非常に調子が良い子だったので起用を決めた」と絶賛。今井はこの日「2番・左翼」で先発出場したが、これまでの3戦は有松和輝(3年)が計12打数無安打と沈黙していただけに、今井がその穴を見事に埋める結果となった。
その今井も、試合後「とにかく嬉しい」と喜びを爆発させた。仙台育英の須江航監督が「大一番で期待に応える星稜打線の層の厚さを感じた」と脱帽したように、相手に大きなダメージを与えた満塁本塁打は「あそこでああいうホームランが出るとは思わなかった。初球フルスイングをすると決めていて、甘い球が来てくれて7打点の活躍に繋がった」と本人も驚きながらも胸を張った。
圧倒的な力を見せた打力だけではなく、大量点差の中でも堅い守備が最後まで崩れなかった。
投手陣は立命館宇治戦に続いて先発を任された2年生の荻原吟哉。荻原は7回1失点と好投し、6回にはエース・奥川に「自分の出番を作らせないように(林監督)」と笑顔で声を掛けられ、ピンチを脱した。8回から登板した2番手の寺沢孝多(3年)も2回無失点と気持ちを緩めず好リリーフ。破壊力のある仙台育英の反撃を封じた。
今井が「昨日は野手陣が奥川さんに頼ってばかりだったので、今日は野手陣でカバーしようと話していた」と明かしていたように、今井をはじめ、多くの野手陣、投手陣が“奥川のため”に戦った。その上で、個々の能力、そしてチーム力が成長。指揮官も「大会に入って日替わりでヒーローが出たりだとか、甲子園を勝ち上がるためには一戦ごとに力を付けていかないといけない」と選手たちの働きぶりを称えている。
準決勝の相手は、こちらもビッグイニングを作る能力がある打線と継投が持ち味で勝ち上がってきた、初優勝を狙う中京学院大中京(岐阜)。北陸勢が未だ成し遂げていない優勝、星稜としては24年前に決勝で敗れた悔しさを晴らすため、良い流れを持ってまずは準決勝の戦いに臨んでいく。
取材・氏原英明、文・ベースボールチャンネル編集部