甲子園ベスト4の兵庫代表・明石商。変革もたらした狭間善徳監督が語る野球論「守れなければ勝てない」
春に続いてのベスト4進出。明石商に変革をもたらした狭間監督、根底にあるのは「トーナメントは守れなければ勝てない。まずは守りから」という考えだ。『高校野球界の監督がここまで明かす!野球技術の極意』(大利実著)から狭間監督の野球の守備に関する技術論を一部抜粋で公開です!
2019/08/21
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「野球で覚えたことは、人生にも必ず生きていく」
野球における基礎とは何か。狭間監督は4つのキーワードを使って、選手に説明している。
①備え
何をやるにしても備えが大事。たとえばキャッチボールであれば、360度すべての方向に動ける構えで待つ。備えができていれば、横に逸れた送球に対しても、足を使って、胸の前で捕ることができる。突っ立っていたら、悪送球に対応ができない。
②間(マ)
相手のリリースから、自分のところにボールが届くまでの時間をしっかりと感じる。2秒でボールが来るのであれば、その2秒をフルに活用する。キャッチボールで間を感じられるようになった選手は、バッティングもよくなることが多い。
③タイミング
時間を感じながら、グラブを出すタイミングを決める。バッティングでいえば、バットを振り出すタイミング。時間を感じられない選手は、いつまでたってもタイミングを取ることができない。
④バランス
捕るにしても投げるにしても、上半身と下半身のバランスやかみ合わせが大事。上と下 がかみ合えば、必然的に悪送球の可能性は減っていく。
「キャッチボールを例に出しながら、こうした話しをしていきます。昔から『キャッチボールが野球の基本』と言われるのは、ここにつながっているから。雑誌などで、いろんなキャッチボールメニューが紹介されることがありますが、基礎の考えがわかった上で取り組まなければ、ただのメニューで終わってしまうと思います」
そして、この4つのキーワードは人生にもつながっていく。
「野球は人生そのものです。何事においても準備をしなければ、いい結果は生まれません。時間を感じながら、勝負するタイミングをはかり、『ここや』というところで一気に攻めていく。バランスは、人と人の調和。どんな世界に進んでも、人との関係性をよくしていかなければ、世の中は渡っていけない。『野球で覚えたことは、人生にも必ず生きていく』と話しています」
大利実(おおとし・みのる)
1977年生まれ、横浜市港南区出身。港南台高(現・横浜栄高)―成蹊大。スポーツライターの事務所を経て、2003年に独立。中学軟式野球や高校野球を中心に取材・執筆活動を行っている。『野球太郎』『中学野球太郎』『ホームラン』(廣済堂出版)、『ベースボール神奈川』(侍athlete)などで執筆。著書に『中学の部活から学ぶ わが子をグングン伸ばす方法』(大空ポケット新書)、『高校野球 神奈川を戦う監督たち』『高校野球 神奈川を戦う監督たち2 神奈川の覇権を奪え! 』(日刊スポーツ出版社)、『101年目の高校野球「いまどき世代」の力を引き出す監督たち』『激戦 神奈川高校野球 新時代を戦う監督たち』(インプレス)がある。
<書籍概要>
『高校野球界の監督がここまで明かす!野球技術の極意』
大利実著
本体価格:1600円+税
人間は誰もが、得意分野を持っている。
高校野球の指導者にも似たようなことが言えるのではないだろうか。
本来、ひとつの組織として考えたときには、プロ野球のように「監督」「ピッチングコーチ」「バッティングコーチ」「守備コーチ」「走塁コーチ」と、その分野に長けた指導者を置くのが理想といえる。
ただ、高校の野球部は学校の中での活動であり、現実的には難しく、予算も限られている。
ならば、各分野の育成に長けた監督――いわば“スペシャリスト”――に集まってもらい、1冊の本にまとめることができれば、
野球の技術全般を学ぶことができるのではないか。そう思ったのが、この本を企画したきっかけとなっている。
高校球界で活躍するスペシャリスト7人、そしてプロ野球選手3人を取材し、野球技術の極意に迫った。
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『高校野球界の監督がここまで明かす!野球技術の極意』