星稜・奥川恭伸の投球に思う甲子園のあり方。両エース不調の決勝戦、求められる“球児のための”環境作り【全国高校野球】
第101回全国高校野球選手権大会が22日、大阪・履正社の優勝で幕を閉じた。敗れた星稜のエース奥川恭伸は5失点と精彩を欠いた。奥川の“らしくない”投球から、甲子園決勝戦という舞台のあるべき姿が問われる。
2019/08/23
Getty Images
「野球の神様が自分に与えてくれた課題なのかなと」
彼は今日も涼しい顔をしていた。
今大会NO.1ピッチャーの評判通りのピッチングを続けてきた星稜のエース・奥川恭伸が決勝戦で散った。9回11安打を浴びて5失点。石川県勢の初優勝を果たすことはできなかった。
閉会式終了後のインタビュー通路の壇上。奥川はいつものように淡々と試合を振り返り、相手打線の履正社をリスペクトすることを忘れなかった。
調子の良し悪しを聞かれて、涼しげに振り返っていたのが印象的だった。
「今日はおかしいなっていう気持ちよりも、向こうのバッターが自分のまっすぐに合わせてきていた。だから、どこかで捉えられるだろうなって思っていたんですけど、そこで自分が踏ん張り切れなかった。野球の神様が自分に与えてくれた課題なのかなと。向こうの方が日本一になるべきチームなのだと思います」。
誰がみてもわかるように、決勝戦の奥川は、いつもの彼ではなかった。持ち味であるコントロールがしばしば乱れ、変化球も曲がりが早かった。先制直後の3回表のピッチングはまさにその象徴で、2死を簡単にとりながら、連続四球を与えたピンチの初球が甘く入ったものだった。「四球あとの初球」という投手の鉄則さえ守れないほど、この日は奥川らしくなかった。