星稜・奥川恭伸の投球に思う甲子園のあり方。両エース不調の決勝戦、求められる“球児のための”環境作り【全国高校野球】
第101回全国高校野球選手権大会が22日、大阪・履正社の優勝で幕を閉じた。敗れた星稜のエース奥川恭伸は5失点と精彩を欠いた。奥川の“らしくない”投球から、甲子園決勝戦という舞台のあるべき姿が問われる。
2019/08/23
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岩手県大会で194球を投げた佐々木朗希
そうした彼らから学ぶべきものはあるだろう。
日本高野連は今年4月から「投手の健康問題に関する有識者会議」を開設し、球数制限を含めたルール改正に論議を重ねている。「球数制限よりまず日程の緩和」などが多方面からうたわれる中で、今大会最多に迫る165球を投じた奥川が決勝戦の舞台で最高のパフォーマンスを出せず、連投をした清水が精彩を欠いたことは無視できないはずだ。
休養日を作っても、そして、指導者が選手の体調面を配慮した起用を選択しても、一筋縄ではいかない難しさがピッチャーの健康問題には存在するということだ。
岩手県大会決勝戦で160キロ右腕の佐々木朗希を登板させなかった大船渡の指揮官・国保陽平監督への風当たりは今も強い。球児の夢を大人が奪ったとまでいう識者やメディアがいたが、この日の奥川や清水を見る限りは、佐々木が岩手県大会決勝戦で高いパフォーマンスを見せられたかどうか、甚だ疑問だ。
佐々木は岩手県大会の3回戦で、194球を投げていたし、準決勝でも130球の球数を要していた。奥川より過酷だったから佐々木も同じように苦しんだとまでは言い切れないものの、試合の中で全力投球している風でもなかった奥川ですら、そんな状態になったのである。