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【第3回】選手たちの第二の家。 米ピッツバーグ『世界一野球を”楽しむ”大会』ホストファミリーインタビュー

 暗いニュースが続く日本野球界。岐路に立つ今、野球の一つの本質である”楽しむ”という原点に立ち返り、現状を見つめなおすべきかもしれない。そのヒントは、米ペンシルバニア州ピッツバーグにある小さな街、フリーポートにあった。今年で25年目となる、野球を通じた国際交流を目的とする大会から、現地リポートをお届けする。第3回は、ホストファミリーへのインタビューだ。

2019/08/31

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佐藤温



 フレッドさんとカレンさんはフリーポートに長年住んでおり、7年前に初めてホストファミリーとなった。今年は初めて日本人が滞在し、大会期間を共に過ごした。彼らはイベント期間と前後の2週間、食事、家事、買い物など、選手の身の回りの世話をボランティアで行う。また、カレンさんは、寄付金の扱いやユニフォームの手配に至るまで、幅広く活躍している。何が彼らの「おもてなし」精神をここまで駆り立てるのだろうか。フレッドさんへのインタビューを通じ、その思いを探っていく。
 
—なぜ、ホストファミリーとなることに決めたのですか?
『簡単に言うのは難しいですが、それが正しい行いのように思えるからです。FIBIの活動を援助し、地域の皆で支えること。そして、異文化から来た人たちと交流することに大きな意義を感じています』
 
『たった10日ほど前、日本から到着した彼らは、異国の地で少し緊張していました。でも最後はまるで自分の家のように過ごしてくれました。そして、ここでの野球が楽しいと言ってくれる。これが何よりの答えです』
 
―その考え方に至った背景を教えてください。
『私の育った環境に要因があると思います。小さなころから、『誰であれ、どのような見た目であれ、どこから来た人であれ、自分がそうされたいように親切にしなさい』と両親に言われていました。この考え方はFIBIの理念とも強く共鳴しています』
 
―FIBIの魅力はどのようなところにありますか?
『まずは、地元全体で運営している点です。大好きな野球の試合を見て、友人たちと語り合うことがとても楽しい。そして、純粋に野球を楽しむ若者たちが幸福感に溢れた表情を見せてくれます。トロフィーを賭けた戦いも素晴らしいのですが、国籍や球歴を問わず楽しむ姿を見られるのが大きな魅力です』
 
―各国のチームが参加するFIBIですが、国民性は野球に関係してくると思われますか?
『そうですね。プエルトリコをはじめ、ラテンアメリカの選手たちにとって、ここでの試合はお祭りに近いものです。プレー一つ一つにはものすごい集中力で臨みますが、ベンチは楽器や合唱で大騒ぎです。』
 
―日本の野球では、そういった楽しみ方はあまりよしとされないかもしれません
『どちらが正しい、もしくは間違っているというような問題ではないのです。互いの取り組み方を知り、もし良いなと感じれば取り入れてみる。FIBIは、そんな試行錯誤のチャンスになると思います』
 
―フレッドさんにとって、野球の魅力はなんでしょうか。
『たくさんありますが、一つあげるなら、ゲームの複雑さだと思います。あらゆる状況で、あらゆることを考えながらプレーする必要がある。ある判断を下した直後に、『やっぱりこうしておけばよかった!』と思うことばかりです。そんな複雑で難しい競技を、練習や工夫でどれだけシンプルにしていけるか。その過程に野球の魅力があると思います』
 
―日本でプレーする子供たちにメッセージをお願いします。
『野球を楽しむことにベストを尽くしてください。プロの選手になる人も、そうでない人も、人生にはそれぞれのやるべきことがあります。誰しも、完ぺきじゃなくていい。野球を楽しむ気持ちを忘れず、良い人生を送ってほしいと思います。』
 
取材・文 佐藤温



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