キューバ、政治的事情で来月開催のカリビアンシリーズ不参加に。コロンビアが代替出場へ
2020/01/10
高橋康光
2016年大会ではグリエル兄弟が失踪の事態も
来月2月1日(日本時間2日)~7日(同8日)にかけてプエルトリコのサンフアンで開催されるカリビアンシリーズにキューバ代表チームは参加できない見通しとなった。7日(同8日)、米国メディア『ESPN』のスペイン語圏向け『ESPNデポルテス』が報じている。
先ごろ、カリブ野球連盟のフアン・フランシスコ・プエージョ会長は、アメリカ自治領のプエルトリコに入国するためのビザ発給の問題で、キューバが大会に参加できない見通しであることと、コロンビアを代替国として招待することを発表していた。
そして、母国ドミニカ共和国のラジオ番組に出演した同会長は「ドミニカのアメリカ領事館を通じ、数ヶ月前からビザ発給のためにキューバ側にアクションをかけていたが、キューバ側が必要な手続きを踏まなかった」と述べた上で、「これは政治的問題だ。(4年前の同地開催時は)バラク・オバマ政権だったが今は違う」とキューバと米国の複雑な関係について言及した。また、メキシコで開催予定の次回大会以降のキューバの参加には「門戸は開かれている」と述べている。
カリビアンシリーズは1949年から開催されている伝統ある大会だ。何度かのレギュレーションの変更を経て、近年はドミニカ共和国、プエルトリコ、メキシコ、ベネズエラの4ヶ国のウインターリーグ王者によってタイトルが争われていた。初期参加国であったキューバは、キューバ革命による政体の変革以降は参加を取りやめていたものの、2014年から招待国として参加し続けていた。
キューバのシリーズ復帰は大会に彩りを加えたものの、2015年、2016年は大会期間中に失踪者を出すという事件も起こしていた。特に2016年はユリエスキ・グリエル(現ヒューストン・アストロズ)、ルルデスJr.(現トロント・ブルージェイズ)の兄弟が失踪し、日本のファンにも衝撃を与えたことは記憶に新しい。
政治的理由によるキューバのシリーズ不参加は寂しいが、同大会出場のため、アルフレド・デスパイネ外野手(福岡ソフトバンクホークス)らNPB組のプレーヤーたちは春季キャンプ合流が例年遅れていたことを考えると、日本の球団にとってはむしろありがたい裁定となったのかもしれない。