「根拠のある奇跡を」 グラウンドを失くしても埼玉で躍進する東京成徳大深谷
浦和学院や春日部共栄など全国区の強豪校がしのぎを削る埼玉の高校野球で、東京成徳大深谷が春夏秋通じて初の県大会4強入りを果たした。グラウンドを失い3年生部員17名のみの選手たちで戦う今夏、初の甲子園出場を目指す。
2015/07/12
高木遊
OBの応援を背に
また、公式戦のスタンドも17人のハンデを感じさせない。ベンチ外部員がいないため、OBが応援をリードし、強豪校にも負けない熱気を生み出している。応援団の1人である大学1年生の高野秋成さんは「監督さんや後輩に恩返しをして、少しでも力になりたかったので」と話す。
高橋滉斗主将も「応援の声が大きくて、東京成徳大深谷の伝統や自分たちに託 してくれる気持ちが伝わりました」と感謝の言葉を口にしている。
高まる期待と注目度に泉名監督は、「いろんなものを生徒たちに背負わせることは良くないのかもしれない。だけど、埼玉を勝ち切るだけの戦力は無いんで、応援してくれる人の気持ちを背負って戦って、“器の大きな人間になろうよ”“根拠のある奇跡を起こそう”と常々言っています。そしてその根拠は練習で作るものだと。そうした男気ある野球を、(試合での)2時間半で出させてあげたいですね」と語った。
エースの落合大地も「“種を蒔かないと花は咲かない”と監督がよく言うのですが、一人ひとりができることをしっかりやって、その花を咲かせたいです」と気合いは十分だ。
17年かけ築いた土壌に、逆境の中でもたくましく根を張った17人の選手たち。今年も酷暑が予想される埼玉でその花を咲かせることができるのか。
「根拠のある奇跡」の第一歩は、12日の2回戦・所沢北戦(予定)から始まる。