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「打ち勝たなければ勝てない」――『打撃の伝道師』率いる県立相模原が名門横浜に挑んだ夏

県内有数の進学校でもある相模原。県立勢として64年ぶりの神奈川県代表を目指した夏の挑戦が幕を閉じた。敗れた相手は、高校野球界の雄・横浜高。今回の夏で退任する渡辺元智監督率いる名門から、相模原は何を教わったのか。

2015/07/23

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藤江直人



横浜は足りないものを教えてくれた

 春の県大会で相模原は9試合で103得点をあげた。その後の練習の積み重ねで「その春よりも打撃は確実性があがっている」と手応えを感じていた佐相監督の言葉通りに、相模原は百合丘、神奈川大附属を危なげなく下して4回戦に臨んだ。

 迎えた横浜戦の二回表。結果的には藤平のエラーとなったが、宮崎のバントに対する処理を見て、佐相監督の覚悟はさらに深まったのだろう。横浜相手にバントはやはり危険だと――。
 夏の予選の開幕を直前にして、横浜戦の会場となるサーティーフォー相模原球場の内野が土であることを踏まえた佐相監督はこうも語っていた。

「ゴロを打てば何とかなる」

 バットの芯を食った柴田と本郷のライナーは創意工夫が散りばめられてきた打撃練習の成果であり、逆の見方をすれば横浜に「打たされた」となる。連続エラーで相手が少なからず浮き足立っていたことを考えれば、柴田の3球目、後藤の2球目、本郷の4球目のヒッティングは早すぎた感も否めない。

「ストレートを狙わせたんですけどね。横浜は渡辺元智先生もすごいけど、選手たちもすごい。やはり個の力ですね。長打が出るのはパワー。そこが私たちにはまだ足りないところです」

 夢半ばで幕を閉じた今夏の挑戦を、佐相監督はこう締めた。さらなるパワーの追求だけではない。積極果敢な好球必打に加えてゴロ打ちや待球など、臨機応変な戦術眼がなければ強豪私学の壁を超えられないことを、勇退する渡辺監督を甲子園へ送り出そうと一致団結する名門横浜が教えてくれた。

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