『1.01の法則』『PDCAサイクル』でレベルアップ――県内有数の進学校・相模原が歩む道
県内有数の進学校でもある相模原。県立勢として64年ぶりの神奈川県代表を目指した夏の挑戦は、横浜高に0対3で敗れて4回戦で幕を閉じた。しかし、激戦区神奈川県において厚い私立の壁を越えるための挑戦は終わらない。
2015/07/24
藤江直人
「打撃の伝道師」の指導を求めて
最寄りのJR大磯駅から東海道本線に乗り、茅ヶ崎駅で相模線に乗り換える。単線ですべて各駅停車の車両に揺られること約1時間。16番目の上溝駅で降りて、とめてある自転車のペダルをこいで急坂を登っていく。
1年生ながらセカンドのレギュラーを獲得し、甲子園出場を目指して神奈川県大会に臨んだ県立相模原の柴田高平の通学を再現するとこうなる。往復で3時間半近くもかかる行程を、しかし、ルーキーは苦にしていない。
「睡眠時間が足りなくなる点は、相模線で座って寝ることで補うようにしています」
神奈川県は2005年度から、県立校の受験において全県一学区制を採用している。それまで18に分かれていた学区の枠を超えて、志望校選択の自由が拡大されて久しいなかで、地元では「県相(ケンソウ)」の愛称で知られる相模原へ、強い意思と覚悟を抱いて遠距離通学する生徒が近年になって増えている。
その大半が野球部に所属していることは言うまでもない。65人を数える部員のうち、3年生と2年生は「打撃の伝道師」として県内で知名度が高く、理論や指導のノウハウをまとめたDVDも販売されている佐相眞澄監督が2012年度に相模原へ赴任したことを知り、その指導を仰ぎたいと望んで相模原の門を叩いた。
そして、柴田をはじめとする1年生は佐相監督の存在に加えて、昨年の夏にベスト8、秋にはベスト4に進出した躍進ぶりに憧憬の念を抱いて遠距離通学を決意した。強豪私学からも声をかけられていた柴田が言う。
「僕は昨年夏のベスト8を見て、県相で絶対に文武両道を両立させたいと思いました。ひじの使い方や足のステップなど、監督は悪いところをすぐに見抜いてアドバイスをしてくれるので、すぐに結果を出せるんです」