日本生命18年ぶりVの都市対抗野球 明暗をわけた“勝つ確率の高い戦い方の実践”
18日から29日までの12日間に渡って行われた第86回都市対抗野球大会は、64年ぶりに大阪市同士の決勝となり、延長14回の末、日本生命が18年ぶり4回目の優勝で幕を閉じた。
2015/08/02
グランドスラム
日本生命が決勝4時間43分の死闘を制す
関東勢がベスト8に残れないという大会史上初の“事件”もあった第86回都市対抗野球大会は、日本生命と大阪ガスによる64年ぶりの大阪市同士の決勝となり、延長14回、4時間43分の死闘を5-3で制した日本生命が、18年ぶり4回目の優勝を果たした。
最高殊勲選手に贈られる橋戸賞には、3試合にリリーフ登板し、特に決勝では5回途中から気迫の投球を続けた日本生命の藤井貴之投手が選出される。敢闘選手を讃える久慈賞は、準決勝を除く4試合に登板し、力強い投球を披露した大阪ガスの酒居知史が、優秀な新人に送られる若獅子賞とダブル受賞。顕著な活躍を見せたチーム・選手に贈られる小野賞には、2試合連続完封をマークし、準決勝でも日本生命を相手に無失点投球を続け、延長11回の初失点で惜敗した王子の近藤 均投手が輝いた。そして、首位打者賞は18打数8安打で打率.444の上西主起外野手(日本生命)が獲得した。
一回戦16試合が終わった際には、チームの戦力層がそのまま勝敗を分ける要因にはならないと書いた。さらに、二回戦から決勝を取材して強く感じたのは、野球というゲームで勝利に近づくために重視するのは確率であり、勝つ確率の高い戦いを実践したチームが勝ち上がったということだ。
勝利に近づく確率とは何か。それは例えば、走者はひとつでも先の塁に進める、投手の勝負球はインコースよりアウトコース、ひとつのミスを取り返そうとして次のミスをしないこと、継投はイニングの途中よりも頭からなど。長い野球の歴史で検証されてきた勝つ確率の高い戦い方が、特に接戦の展開では生きてくる。
さらに、大舞台でもそうした戦い方を実践できれば、成長途上の若い選手たちはプレーの精度を高めて自信をつけていく。実際、今大会で個人賞を手にしたのも、東京ドームで2試合、3試合とプレーするのは初めての選手ばかりだ。