九州共立大の3年生右腕は大瀬良大地の愛弟子 将来性豊かな岩本喜照
2014年のセリーグ新人王・大瀬良大地(広島)らプロ野球選手をこれまで18人輩出し、リーグ最多の優勝39回を誇る九州屈指の名門・九州共立大学。そこに、将来性豊かな3年生の長身右腕がいる。
2015/08/03
高木遊
大瀬良と過ごした1年
「ここに来て1番良かったと思えることは、大瀬良さんと出会えたことです。どれだけやったらドラフト1位でプロに行けるのか、どれだけやったらプロで活躍できるのか。それを1年間通して間近で見ることができました」
そう言って岩本は、3学年上の先輩にあたる大瀬良に対する感謝の想いを屈託のない表情で話す。
特に寮では、大瀬良の1人部屋に岩本が毎晩通い、夕食後に5合の食事を追加する「食トレ」を行った。大瀬良も1年時に川満のもとで行ったことを、今度は大瀬良が岩本にも行い、その食事代は大瀬良がすべて出してくれた。
また、1人で黙々と食べる岩本に他愛ない話を振るなどして、気を紛らわせてくれたのだという。大瀬良が卒業した後も、現在は1日5食を摂るなどして、体重は入学時の73kgから84kgへと見違えるようになった。
グラウンドでも「マウンドでの考え方やフォームのことなど、聞けば何でも教えてくれました」と話す。その感謝があるからこそ、次に目指すのは、大瀬良の3年時から遠ざかる全国大会出場と、大瀬良が活躍するプロの舞台での競演だ。
更なる「本気」で覚醒目指す
一方で精神面の課題も残る。上原監督は「彼のセンスを考えたらこんなもんじゃない。決め球を作れれば、常に2ケタ三振を奪うぐらいの力があるはずです。大瀬良が見せた“本気”からすれば、まだまだ。早く尻に火がついて欲しいですね」と語り、OBで元ソフトバンク外野手の柴原洋氏(九州共立大特別客員講師)も「良いモノは持っているだけに、あとは一つ一つの考え方ですね。プロでも優しい投手は活躍できないことが多いですから」と精神面での成長に期待を込めた。
1学年上に強豪社会人の内定も得ている岡本拓也(4年・北大津)がいるとはいえ、今春は2回戦での登板となり、まだエースとは言えない。そして高校時代と同じく全国大会出場も果たせないでいる。
岩本は「秋にまずリーグ優勝して(九州地区代表決定戦を勝ち抜き)神宮に行きたいです。福岡で止まっているわけにはいかないので」と力強く語った。
その言葉には、彼の中でも何かを変えようという力強い意志が感じ取れた。高い能力ゆえのプレッシャーをはねのけた時、岩本はどんな投手へと成長するのか。今後の活躍を楽しみにしたい。