今年は「東高西低」 伝統校が揃った東日本と、新興校が多い西日本・・・真紅の優勝旗はどの学校に?【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、今年の夏の甲子園出場校49校についてだ。
2015/08/06
伝統校が多く出場する東日本
今日から夏の甲子園が始まる。100周年の今年は開会式で、王貞治ソフトバンク会長が始球式を行うなど、歴史を感じさせる催しになった。
今季の出場校49校の実力、勢力図はどうなっているのか、公表されているデータをもとに数字をはじき出した。
まず通算の勝敗、優勝、準優勝の回数、勝率。「伝統」「経験」は、1戦必勝という甲子園の舞台では大きな力になる。春夏の内訳も入れた。次に、2015年戦績。新チームになってからの県大会、甲子園の予選の戦績。1試合当たりの得失点、そして得失点差で導き出せるピタゴラス勝率(P勝率)。
地域によって実力格差があるし、学校の格差もあるから、この勝敗で実力が全てわかるわけではないが、そのチームの傾向はある程度わかる。
この指標の中から通算勝率、新チームになっての得点、失点、P勝率で上位10傑を赤字で示した。
東日本から見ていこう。まずは26校。
「高校野球100年番付」でも述べたが、東日本は実績ある伝統校が多く出場している。通算勝率10傑の学校が7校ある。“東の横綱”中京大中京もいる。この学校は夏に最多の7回も優勝している。また2015年実績でも、得失点ともに上位にランクされるチームが多い。
打線でいえば、関東一、早稲田実が群を抜いている。関東一は身体能力の高いオコエが注目される。また“怪童”清宮幸太郎を擁する早稲田実の破壊力は抜群だ。しかし早稲田実は、平均失点が5.40と出場49校中でワースト。投手力に問題があると言えよう。
投手力では初出場だが霞ケ浦、東海大甲府が優秀。そしてP勝率で見れば花咲徳栄、東海大甲府、北海、東海大相模、聖光学院、霞ケ浦、春夏連覇を目指す敦賀気比と言うことになろう。
特に1度も夏の優勝がない東北地方の聖光学院に注目したいところだ。夏は最長の9年連続出場。深紅の優勝旗を「白河の関を越えて持って帰る」のは東北野球人の悲願だが、今年はどうだろうか。
東日本は実力が伯仲した有力校が揃った。ただ全体として夏よりも春に強いチームが多いことは言える。