今年は「東高西低」 伝統校が揃った東日本と、新興校が多い西日本・・・真紅の優勝旗はどの学校に?【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、今年の夏の甲子園出場校49校についてだ。
2015/08/06
初出場校が目立つ西日本
続いて西日本の23校だ。
これも「高校野球百年番付」で述べたが、今年の西日本は伝統校が少ない。名のある学校を打ち破って新興校が数多く進出しているのだ。大舞台での経験が浅い学校が多いのは、多少不利かもしれない。春夏通算成績で10傑に入った学校は、智弁和歌山、明徳義塾、興南の3校。これに天理なども伝統校に入る。天理、智辯はともに夏に強い。
平均得点でベスト10に入っているのはわずか2校だけ。最近圧倒的な打棒を見せる大阪桐蔭が出場していないのが大きい。比叡山は予選で2本塁打を放った安達、打率4割超の山本、西川らの強力打線が売り。岡山学芸館は予選の打率.643の岡本と13打点の畑口がいる。
今年の西日本は投手力が優秀な学校が多い。沖縄の興南は平均失点が最小。左腕比屋根を中心とした守りのチームだ。目立たないが本格派エース堀を擁する広島新庄も守りが光っている。宮崎日大の杉尾は速球とスライダーが持ち味の本格派。
P勝率で見れば、興南、天理、比叡山。実績も含めてこの3校が有望だ。
2015年の夏の甲子園は「東高西低」。東日本に実績のある有力校がひしめき、西日本では、名門校、強豪校に代わって新興校が顔を出しつつある。高校野球の勢力図が変化しつつあるのだ。今年に限っては、幾分東日本が有利だということが言えよう。
もちろん、甲子園に来てから「確変」して、奇跡的なプレーを連発し、あれよあれよという間に決勝までいくようなチームもある。そういう大番狂わせも甲子園の魅力だ。また、対戦カードの「運」「不運」も大きい。予想通りに行かないケースの方が多いだろう。このリストは、観戦の「手引き」として活用いただければ幸いだ。