【高校野球】大阪偕星学園・山本晳監督が明かす「強豪校の倒し方」 元補欠たちと挑む甲子園
昨夏甲子園優勝の大阪桐蔭を大阪府大会準々決勝で破り、初の甲子園出場を決めた大阪偕星学園。波乱万丈の山本晳監督が鍛え上げた選手たちが今日の比叡山高校戦でいよいよ甲子園デビューする。
2015/08/08
やる気があればなんとかなる
しかし――。
今年の夏、「大阪偕星学園」と改名した此花学園野球部は、準々決勝で前年度全国優勝した大阪桐蔭を破ると、そのまま勝ち抜き甲子園出場を決めたのだ。
山本によると、春の大阪府大会で決勝まで進み、大阪桐蔭に敗れた経験が大きかったという。
「大阪桐蔭とやったときに、誰が通用して、誰が通用しないかわかったんです。大阪桐蔭を倒せば優勝できる。桐蔭をとことん分析しようと、試合のビデオは100回以上見ましたね」
彼が師と仰いでいるのは、南海、ロッテ、ヤクルト、ダイエーなどで打撃コーチを務めた故・高畠導宏である。かつて高畠は野村克也の懐刀と言える存在だった。
尽誠学園のコーチを辞めた後、山本はダイエーホークスの入団テストを受けたことがある。すでに年齢が26才になっていたために落とされたが、そのときの打撃コーチが高畠だった。その後、高畠が中日ドラゴンズの編成にいる頃、山本は通訳としてアメリカに同行したこともある。
「本当に(大阪桐蔭の強い部分を)一個、一個、潰していきましたよ。まあ、強いと言っても同じ高校生ですからね。そして高(畠)さんが見守ってくれたんでしょう」
運も良かったのだと付け加えた。
「うちは(コースに)コントロールできるピッチャーが一人ぐらいしかいない。ピッチャーがバテバテだったんです。もし決勝で当たっていたら、ボコボコで20点ぐらいいかれていたでしょうね。準々決勝で当たったのが良かったんです。野球の神様が見ていてくれた」
プロを経験している山本の分析は合理的で細やかだ。その一方で「野球の神様」「気持ち」と言った古めかしい言葉が次々と口をついて出てくる。
「やる気がないとどうしょうもない。下手くそでもやる気があればなんとかなるんです」
勝敗は技術や戦術を超えたところにある、というのが山本の考えだ。
今日、大阪偕星は滋賀県代表の比叡山高校と対戦する。山本が思いを込めて鍛えた元「補欠」たちの甲子園がいよいよ始まる――。