【高校野球】高校野球100周年の決勝戦 東海大相模が仙台育英を制し45年ぶりの優勝
20日、甲子園球場で行われた第97回全国高校野球選手権大会決勝は、東海大相模が東北勢初の優勝を目指す仙台育英を9回表に勝ち越し、10-6で45年ぶり2回目の優勝を果たした。
2015/08/20
打撃戦から投手戦を制した東海大相模
今大会屈指のエース対決、強力打線が凌ぎを削る戦いとなった。東海大相模と仙台育英の決勝戦は、打撃戦から投手戦となり6-6の同点で迎えた9回に東海大相模が一挙4点を勝ち越し10-6で優勝を果たした。
優勝候補同士の決勝戦は序盤から点の取り合いになる。東海大相模の先発は今大会ナンバーワン投手とされている小笠原慎之介。先攻の東海大相模は、仙台育英のエース・佐藤世那を立ち上がりから攻め、1番・千野啓二郎がレフト前ヒットで出塁。1死2塁から3番・杉崎成輝のフェンス直撃のセンターへのタイムリーツーベースで先制し、続く4番・豊田寛もレフト前タイムリーヒットを放ち2-0とする。3回も1死ランナーなしから4連打で2点を追加しリードを広げる。
序盤の勢いで東海大相模に流れが傾きかけるなか、3回裏に仙台育英の猛追が始まる。1死から1番・佐藤将太のショートゴロを東海大相模のショート・杉崎が悪送球し、1死1塁。ここから2番・青木玲磨、3番・平沢大河、4番・郡司裕也、5番・五目木優貴の4連打で一挙3得点。4-3と1点差に詰め寄る。
しかし、その直後の4回表に東海大相模は2点を追加し、リードを広げる。積極的な打撃戦が続くなか、4回裏を小笠原がこの試合で初めて三者凡退に抑えると、佐藤も5回表、6回表を三者凡退に抑える。そして、6回裏に1死から四球と連打で1死満塁のチャンスを作る。9番・佐藤が三振に倒れ2死満塁となり1番・佐藤。ファウルで粘り続け、走者一掃のセンターオーバータイムリーヒットで同点に追いつく。
中盤にふりだしに戻った試合は、そのまま両エースが一歩も譲らず、6-6のまま9回へ。9回表の先頭打者は小笠原。5回以降無得点に抑えられていた佐藤の初球をフルスイングした打球はライトスタンドへ飛び込み、勝ち越しのホームラン。ベンチで待っていた門馬敬治監督とがっちり抱き合う。粘り強く投げ続けていた小笠原自身が勝利を引き寄せた。その後1死から3連打で3点を追加し、土壇場で4点を勝ち越し9回裏のマウンドも小笠原が上がる。そして、2死ランナーなしから最後の打者をライトフライに打ち取り10-6で試合終了。東海大相模ナインはマウンドで歓喜の輪を作った。
試合後のインタビューで門馬監督は、「最高です。(9回の小笠原のホームランは)粘り強く投げてくれた結果の執念の一打だと思いました。良く粘ってくれました。(選手には)最後までしつこく、粘り強く、諦めずにやってくれたのでありがとうと言いたいです」と喜びを語った。
決勝戦161球を投げきった小笠原は、「最高です。粘らないと勝てない苦しい夏でした。野手に助けられ、チームメイトに恵まれました。(吉田凌は)切磋琢磨してきたかけがえのない存在です」と、二枚看板でチームを支えてきた吉田への思いも語った。
「厳しい言葉ばかりかけてきた。最後までついてきてくれてよかった。みんなの支えがあってこの場に立てる。感謝したいです」と語った主将・長倉蓮の存在も大きかったはずだ。
45年前の同じ8月20日に初優勝を果たした東海大相模。45年間遠ざかっていた優勝は、高校野球100周年の節目の年に果たすこととなった。