1試合平均得点10点弱 極端な「打高投低」だった、夏の甲子園【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、データから夏の甲子園を振り返りたい。
2015/08/22
打高投低は続く?
投球回数5回以上の投手成績を一覧にしてみた。
今大会は1人で全試合を投げぬくエースは少なかった。最も長いイニングを投げた仙台育英の佐藤世那も、3回戦は百目木優貴が先発し、救援に回った。
夏の甲子園は、打撃力のあるチームが優位と言われる。
例年以上に打高となった背景として、力の突出したエースが不在だったという観方だけではまとめられないだろう。
年々酷暑となり、特に投手の体力消耗は激しい。日程面から考えても、どうしても疲労は蓄積される。
そういった選手の負担を軽減するために、体調管理や故障回避を指導者はより意識しなければならなくなってきている。
防御率1位はプロも注目、花巻東左腕の高橋樹也。初戦は完投したが敦賀気比戦では2番手で4イニング、仙台育英戦も2回からの登板となった。
昔のようにエースで4番が引っ張るのではなく、選手が「分業」するスタイルになりつつあるのではないか。しかし同じレベルの投手を複数そろえられるチームは少ない。このような状況が続く限り、打高投低の傾向は変わらないのではないだろうか。