【MLB】”抑えるから打ち取る”投球術を習得――田中将大、成績悪化も確かな2年目の進化
ヤンキース・田中将大は2日のレッドソックス戦に先発し、6回1/3を6安打4失点で11勝目を挙げた。今季の先発試合数は、昨年と同じ20に到達。これまでのデータを見比べると意外な事実がわかる。
2015/09/04
Getty Images
被弾数が増え、防御率は悪化したが……
ヤンキース・田中将大は2日のレッドソックス戦に先発し、6回1/3を6安打4失点で11勝目を挙げた。今季の先発試合数は、昨年と同じ20に到達。
節目の登板を終えたばかりの右腕の2シーズンを比較して見てみたい。
昨年は13勝5敗、防御率2.77。
これに対し、今季は11勝6敗、防御率3.73。勝敗数ともに見劣りするだけでなく、防御率は約1点も悪化させている。
投球回数は136回1/3から、128回へと減少。これは、シーズン序盤は球数が100球未満と制限されていたことが響いた。今季初めて球数が100球を超えたのは、11試合目の7月9日アスレチックス戦での114球だった。
投球回数が約8イニング少ないにも関わらず、被本塁打は15本から21本へ。四球は21個から25個へと、どちらも増えているのもマイナスポイントだ。
昨年7月に右肘の靱帯部分断裂が発覚。自然治癒することはないと言われるその爆弾と付き合いながら、ここまで投げてきた。
一部の米メディアは、以前のような投球ができないのであれば、1日でも早くメスを入れた方が良い、と手術、手術とはやし立ててきた。
では田中の投球は全ての面において、昨年と比べスケールダウンしてしまったのだろうか。
一つ、確実に改善させた数字として挙げられるのがWHIPだ。
簡単に言ってしまえば、1イニングあたり何人の走者を許すか。被安打数と与四球数を足して、投球回で割ることで求められるこの数値は、メジャーで投手の技量を計る上で最も重視される数値の一つだ。
田中のWHIPは昨年の1.056と比べ、今季は1.023と大きく改善されている。これは被安打数が激減しているためで、123被安打から106被安打と大幅に数字を減らしている。
田中はまだ規定投球回に達していないが、今季のアリーグでもトップのダラス・カイケル(アストロズ)の0.977、2位のソニー・グレイ(アスレチックス)の1.002に次ぐ3位に相当する。
被本塁打が増えたことで確かに失点は47から59へと悪化させたが、「打者を打ち取る」という一点に関しては2年目の進化をしっかりとのぞかせていたわけだ。