【MLB】”抑えるから打ち取る”投球術を習得――田中将大、成績悪化も確かな2年目の進化
ヤンキース・田中将大は2日のレッドソックス戦に先発し、6回1/3を6安打4失点で11勝目を挙げた。今季の先発試合数は、昨年と同じ20に到達。これまでのデータを見比べると意外な事実がわかる。
2015/09/04
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球速も昨年よりアップ
右肘への不安から、今季の田中はいかに少ない球数で長いイニングを投げ抜くか、という難しいテーマを課せられた。
そのことが影響しているのが奪三振数で、141奪三振から115奪三振へと減少。ストライクゾーンを積極的に突き、打たせて取るスタイルへ変遷してきた証。同時に、走者のいない場面などではソロ本塁打増につながることもあった。
ただし、それらは試合状況を踏まえた上で、田中は冷静にギアの上げ下げや、スタイルの変化を見せ、戦い抜いてきている。
シーズン序盤は球速の低下が指摘されたが、これも現時点では逆に昨季を上回っている。米データサイト・ファングラフでは、球種別の平均球速を掲載している。
同サイトによれば、速球(フォーシーム+ツーシーム)は91.2マイルから91.9マイルへ。カットボールは88.9マイルから89.1マイルへ。スプリットは86.5マイルから87.6マイルへと、いずれもわずかながら平均球速はアップしていることがわかる。
確かに巨大なメジャーのスラッガーを、ばったばったと三振で斬った昨季序盤の豪快さはない。見た目には地味にも映るだろう。それでも1年目で得た経験値を生かし、メジャーの打者の特性も頭に蓄積し、打者を打ち取る術はしっかりと身に付けつつある。
季節は勝負の9月、決戦の10月へと向かう。凄味をやみくもに披露するのではなく、試合の中でチームを勝利に導く投球を追求するのが田中のスタイル。
その本領が試される緊張感あふれる戦いがいよいよ始まる。