【MLB】11年間マイナー一筋の苦労人が快挙 WBC中国代表レイ・チャンが1試合すべてのポジションでプレー
11年間マイナー所属で、2009年WBCでは中国代表の一員としてプレーしたレイ・チャンが、1試合で9つすべてのポジションを守る記憶に残る記録を達成した。この記録は誰もが挑戦できることではなく、周囲から評価された上で挑戦権を得ることができる特別なものだ。
2015/09/09
Getty Images
一番難しかったのはキャッチャー
すでにプレーオフ進出を決めたシンシナティ・レッズのAA球団であるペンサコーラ・ブルーワーフーズはホームでシーズン最終戦を迎えた。
最終戦のため球場入りしたレイ・チャンにパット・ケリー監督は質問した。
「今日は休養日にするか、それとも9つのポジションすべて守ってみるか?」
チャンはその質問を試合後振り返り、「答えは簡単だった」と話した。その返事が記憶に残る記録として野球史に残ることとなった。
6番ファーストでスタメン出場したチャンは、イニングが進むにつれて内野を反時計回りに守り、ポジションを外野に移してからはレフトから順番に、そして8回にはキャッチャーとして、9回は投手として登板した。今季はすでに投手として3試合にリリーフ登板していたが、センター、ライト、キャッチャーを守ったのは初めてだった。驚くべきことに8回にキャッチャーとして守備に付くまで、チャンが処理したプレーは一つもなかった。
一番難しかったポジションは間違いなくキャッチャーだと試合後に語ったチャン。
「心臓がバクバクしていた」とその様子を語った。受けた相手は今季25セーブを記録している、サザンリーグのセーブ王であるザック・ワイスだった。90マイル半ば(約150km前半)の球を受け終えた後には、9回の登板に備えるためにブルペンでの投球練習を始めた。
9回マウンドに上がる際にファンは総立ちでチャンを迎え入れた。
たったの4球で三者凡退に抑え、最後はリハビリ試合のため出場していたビリー・ハミルトンのファインプレーでゲームセットとなった。
ケリー監督も「彼以外の人間には決めることのできないプレーだった」と絶賛したほどだった。ハミルトンはボールを観客席に投げ込むも、ファンはチャンの手元に戻るようにそれを返してくれた。チャンはお返しにサイン入りのバットをそのファンにプレゼントした。
この日、チャンは打席でも4打数3安打、得点と盗塁も記録した。
“It was not even close. I want to thank Pat Kelly for giving me the chance to do that. It was such a great day.”
「答えに迷うまでもなかった。パット・ケリー監督にこのような機会を与えてくれたことに感謝したい。本当に素晴らしい日だった」