【MLB】来季は戦力か構想外か? プレーオフ進出消滅も不可解なイチローの偏重起用
8月は一時月間3割を超える記録をあげたが、一転9月は2割も満たない数字となっているイチロー。チームはすでにプレーオフ進出の可能性が消滅し、本来ならベテランではなく来季を見据えた若手選手の起用が増えるのが一般的。なぜ、イチローが出場しつづけているのか?
2015/09/22
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プレーオフ進出の可能性が消滅もイチローは起用
あまり大きなニュースとしては扱われなかったが、マーリンズ・イチローが17日のナショナルズ戦で、ヤンキース時代の13年以来2年ぶりにシーズン400打席に到達した。
常にリードオフマンとして安打を量産していた往年には、毎年700打席以上に立っており、この数字自体は特筆すべきものではない。ただ、その背後を整理すると、来季のイチローを占う上で重要な意味を持ってくる。
イチローの今季年俸は200万ドル(約2億4000万円)で、単年契約。そして300打席以降は50打席ごとに、40万ドルの出来高が付帯している。
これによって、イチローは300打席で40万ドル、350打席で80万ドル、400打席で120万ドルの出来高条件をクリア。このままシーズンを終えれば、年俸総額は320万ドル(約3億8400万円)にのぼることになる。
マーリンズは13日のナショナルズ戦に敗れた時点で、19試合を残して地区優勝も、ワイルドカード2位以内の可能性も消えた。プレーオフ進出の可能性は完全消滅していた。
単純に考えれば、10月22日には42歳を迎えるベテランを起用する理由は見当たらない。あるとすればただ一つ、来季も戦力として見ていた場合だけである。
数字上でもプレーオフ進出の可能性が完全に消えれば、チームは来季以降を見据えた戦いへシフトしやすくなる。マイナーの若手らを起用し、メジャーの打席に立たせ、底上げをはかることが可能だ。
マーリンズのオーナーは渋チンで気まぐれな悪名高きジェフリー・ロリア・オーナー。若手の育成にあてるべきところを、無駄な出来高費用まで負担してイチローに出場させることは、同オーナーの指揮下では考えにくい。仮に来季構想外となっているならば、決して許されない行為だろう。
加えて現在指揮を執るダン・ジェニングズ監督は、今オフにも再びGM職に戻る可能性が指摘されている。来季の青写真を頭に描きながらの起用ならば…。不可解なイチローの偏重起用にも、説明がつくことになる。